このマンガがすごい!2012のこと。

 こんばんは、皆既日食が忘年会で見られなかった、忘年会で誰も話題にしなかった職場に勤めるJoshです。「カーネーション」があいかわらず面白いですね。わがままオヤジ演技からやけど演技と小林薫が色々と新境地。先週もヤバかったけど今週もヤバいね、きっと。
 休みなのに観たい映画が来ません。「ミッション:インポッシブル」の新作までお預けです。ついやることないと(いっぱいあるんだけど)休みになると、買いたい物も特にないのにふらっと築館に来てしまう俺はゾンビになったらきっとTutayaに来てしまうんでしょう。そう言えば14日は荒川弘の「銀の匙」の2巻が発売のはずなのですが、栗原の本屋では漫画は発売日の次の日にならないと納品されません。が、ミニストップに売ってました。本屋よりもコンビニの方が早く手に入る、これが地方です。慣れました。最近年末に発売されている「このマンガがすごい2012」を買いました。

このマンガがすごい! 2012

このマンガがすごい! 2012

 今年は「ブラック・ジャック創作秘話」と「花のズボラ飯」。「花のズボラ飯」は面白かったけど、原作の久住昌之の「孤独のグルメ」を読んで衝撃を受けたのが今年だからそのギャップの面白さとまでは行きませんでした。が、日々の料理や弁当の献立などで頭をめぐらせている奥さま方や自炊しているおひとり様(俺)などの心に花のズボラさはホッと一息させてくれる余裕を与えてくれるのは確か。個人的には毒気の部分も含めてよしながふみの「きのう何食べた?」の方が好きです。これを勧めると「ゲイなんですか?」と言われるのが難。
グラゼニ (1)

グラゼニ (1)

 男部門の2位の「グラゼニ」は確かに面白かったです。原作の森高夕次コージィ城倉だったのは知らなかった。面白いわけだ。毎年、年俸の高い人の話題はニュースにもなるけど低い人たちの事情は知らなかったし、今年は映画「マネーボール」でもその辺りが描かれていましたけど、プロになれる半端じゃない実力の人たち集まりであっても光が当たるのはほんの一握りの人たちなのだというのがよく理解できました。あれだけ少年漫画で野球というジャンルが過剰になりすぎて、彼らのその後は決して描かれません。そういう意味で最近「おおきく振りかぶって」「ベイビー・ステップ」などの冷静な眼差しで描かれるスポーツ漫画の傾向には好感が持てます。作者の「ジャイアント・キリング」の選手の年俸が気になって仕方がないというのには思わず笑ってしまいました。椿いくらもらってんだろ。
銀の匙 Silver Spoon 1 (少年サンデーコミックス)

銀の匙 Silver Spoon 1 (少年サンデーコミックス)

 酪農エッセイ漫画「百姓貴族」が超面白かった荒川弘の新作「銀の匙」は、今年は酪農関係者には色々あったのでタイミング的には最高の題材で酪農という分野のことを色々知る機会にはちょうどいいです。漫画としての間の使い方、ギャグのキレも良く面白かった。来年には「百姓貴族」の2巻も出るそうです。似たテーマを扱った映画では「ブタがいた教室」なんてのもいい作品でしたね。

あさひなぐ (1) (ビッグコミックス)

あさひなぐ (1) (ビッグコミックス)

 「あさひなぐ」は近年久々に読んだ王道のスポ根モノとして良くできている作品で、初期の頃の「はじめの一歩」のような清々しさがあります。マイナーな世界で戦う若い人たちに読んでもらいたい作品。勇気もらえるはず。戦国の世で城を守る女たちがなぜ薙刀を使っていたのかが良くわかりました。薙刀の軌道がカットで割られずスパッと気持ちよく表現されている試合シーンがいいです。

 正直マンガを本格的に読み始めたのが3〜4年前からなので、この本でベストを挙げられている方々が当然読んでいるだろう作品を最近読んでいるような状況なので、あまり知っている作品はありませんでした。あまり積極的に流行りのモノに手を出す気もなくて評価の高い「バクマン」「進撃の巨人」「ちはやふる」は読んでもあんまりピンとこないんだよね。

 今年読んだマンガで面白かった作品を思いつく限り。暇のある人は読んでみてください。
ヘルプマン」 くさか里樹
 認知症の祖母が今年逝った。あまりにリアルで打ちのめされた。日本人必読のマンガ。実はほぼ「ウシジマくん」と似たマンガの構成を持つ。闇金とは関わりなくても老いだけは間違いなく来るからね。
闇金融ウシジマくん 楽園くん〜トレンディーくん編」「スマグラー」 真鍋昌平 
 買った単行本が連載に追いついたのでしばらく寝かせておいた。あいかわらずのクオリティ。世の中良くなる要素がないからどんどん面白くなっていくだろう。映画の「スマグラー」は観なくてもダメなのはわかる。監督がアレだし。
「ぼくの村の話」「どうらく息子」 尾瀬あきら 
 「僕の村〜」は三里塚の空港闘争を描いたノン・フィクションに近い作品。放射能の瓦礫&ゴミの行く先をめぐって各地の田舎で同じような軋轢が起こってそして負けるだろう。無関心が続く限り。
「プロチチ」 逢坂みえこ 
 アスペルガー症候群の父親の子育て奮戦記。逢坂先生のキメ台詞がビシバシ決まる快感。
「ピコピコ少年」&「TURBO」「でろでろ」 押切蓮介
 この人は俺と同じ思考回路で生きていると思った作品群。ギャグをやってもどこか物悲しいのがツボ。
ママはテンパリスト」&作品全般 東村アキコ 
 どの話もほぼ同じ登場人物が出てくるだけなんだけど面白い。年代が変わるとまるで話が通じない可能性あり。
「斉藤さん」 小田ゆうあ 
 戦うだけの斉藤さんが周囲の人たちとの交流の中でぶつかるだけの解決法から解放され弱くなっていくのがいい。
ハルシオン・ランチ」&「無限の住人」 沙村広明
 今年一番の爆笑作。まだわからないネタもかなりあるはず。
ベルセルク 36巻」 三浦健太郎
 ファンタジーになってしまった第二部も読み返すと第一部とは違った面白さがある。エロ巨匠ぶりにも磨きがかかっているのがすごい。
オールラウンダー廻」&「EDEN」 遠藤浩輝
 今年一番はまったマンガ。ツンとデレの落差が怖い作家。連載は現在デレ中。
モリのアサガオ」「サマヨイザクラ」 郷田マモラ 
 絵がちょっとアレなため敬遠してたんだけど、だからこそ突き詰められる検証部分のリアリティ。ドラマにじっくりと引き込まれる。
「友達100人できるかな」&「ラブロマ」 とよ田みのる 
 日本のマンガ家にはあまり見ないネアカな個性が光る。「友達100人〜」は俺の世代にはどストライクだろうな。普段マンガ読まない人にもおすすめ。
「ムジナ」 相原コージ 
 Twitter始めて知った作家。今までピンとこなかった忍者漫画の面白さまで解説してくれる親切仕様。これで白土三平のマンガが読めるわ。
少女ファイト」「G戦場ヘヴンズドア」 日本橋ヨヲコ 
 女の線のやわらかさを描かせたらこの人にかなう人はいない。「バクマン」だめだったけど「G戦場〜」は良かったな。
「ランダバウト」「にこたま 3巻」 渡辺ペコ 
 今一番売れて欲しい作家さん。少女漫画に長渕剛と格闘技を持ちこむこの感性が好き。
「カネが泣いている」「総理の椅子」 国友やすゆき
 エロを封印した「カネ〜」は今潰れまくっている消費者金融業者を描いた硬派な傑作。「総理〜」を読んだ後、民主党の前○とか大阪の橋○とかを総称して「白鳥」と呼ぶようにしている。
「ケッチン 9巻」 きらたかし 
 日常の細々とした描写を丁寧に拾い読ませるのが抜群に上手くいつまでも読んでいたいと思ってしまう。
シュトヘル 4巻」「皇国の守護者」 伊藤悠 流麗なアクションが超燃える。
「GANTZ 31巻〜32巻」 奥浩哉
 しょうじき敵の正体がわかる前の方が緊張感あったけど、現在の展開からも目が離せない。少し寝かせてまとめて読みたい。
ヒストリエ」「寄生獣」「七夕の国」 岩明均
 連載から読んでいる人が気の毒になるほど壮大な物語の「ヒストリエ」。ちゃんと読んでなかった前作も姿勢を正して読み直したよ。
LIAR GAME」 甲斐谷忍
 「人を無条件に信じるというのは思考停止である、疑え」という秋山の言葉にはハッとさせられた。そうだよね。
「コラソン」「明日のない空」「イカロスの山」 塀内夏子
 今年読んだ作品の中で最も男のロマンを感じた「イカロス」。「明日〜」の続きが気になる。
「食キング」「極道めし」 土山しげる 
 正直最近作品のリアル路線に食傷気味だった頃に読んで衝撃を受けた「食キング」。これだよ。今のマンガに足りない嘘は。正しい仕事の姿勢というものを改めて考えさせられる。
「アイアムヒーロー 6〜7巻」「ボーイズ・オン・ザ・ラン」「ルサンチマン」 花澤健吾
 今年一気に読んだ花澤作品。「宮本から君へ」の二番煎じだと思って敬遠してた「ボーイズ〜」だったけど、映画観てまた読もうと思った。面白かった!!
おやすみプンプン 9巻」「うみべの女の子」 浅野いにお 
 この前Twitterの背景論議でやり玉に挙げられてかわいそうだったけど、このフォーマットをパクれる根性ある人が果たして何人いるのか。再びマンガを読むきっかけになったのが浅野先生の「ソラニン」だった。感謝してます。
弱虫ペダル」 渡辺航 
 読んでいてこんなに燃えるスポーツマンガは久しぶりです。電車代惜しさに自転車を走らせてたすべてのチャリンカーに贈る作品。
「ベイビー・ステップ」 勝木光 
 テニスのゲームとしての奥深さを教えてくれた作品。わりとスポーツマンガで軽蔑されるデータ君を主役として突き詰めたのが面白い。
「大きく振りかぶって」「ヤサシイワタシ」 ひぐちアサ 
 「バッテリー」もそうだけど女性の方が野球を冷静に見てるよね。かつ、野郎どものキャッキャッ感も上手く描いてる。そして「ヤサシイ〜」を読んで仰天する。
大東京トイボックス」「東京トイボックス」 うめ 
 「魂は合ってる」はしばらく自分の中で流行ってた。ゲームをやってた人全てに贈る。
「バックステージ」 ナカタニD. 
 どんぶり勘定な演劇の世界に元金融業界の人間が裏方に回るというアイディアがナイス。
シグルイ」 山口貴由 
 残酷描写が苦手なタイプのマンガと敬遠してたけど、独特の超スローモーションで描かれる高速の殺陣に一気に引きこまれ全巻買ってしまった。ラストが超せつない。
「海街diary 帰れないふたり」 吉田秋生 
 登場人物と一緒に生きているような時間の流れが心地良い。待たされるのが苦にならない不思議な作品。
乙嫁語り「エマ」 森薫
 服や小物の綿密な刺繍に圧倒され現代とは全く違う価値観の世界に自然に入っていける。幼いカルククが男らしくなっていく姿と男勝りの年増嫁さんアミルが女に目覚めていく過程が素晴しすぎる。続きを待つ間「エマ」を読みます。
のりりん」 鬼頭莫宏
 この作家さんの線の細さが物足りなかったんだけど、自転車と自転車ルックをこれだけエロティックに描けるのもこの人の持ち味なんだろうな。
マイガール」 佐原ミズ 
 状況や設定は違うけど可愛いだけの「うさぎドロップ」よりも俺はこっちの方が優れてると思う。
よつばと!」 あずまきよひこ よつばの父ちゃんは何してる人なの?
「私がいてもいなくても」「いとしのニーナ」 いくえみ稜
 住む世界が違いすぎて登場人物にまるで感情移入できる要素がない作家さんなんだけど、今年友達の会社でバイトした時の気持ちまんま「私が〜」で描かれていて共感した。
「娚[おとこ]の一生」「姉の結婚」「ちはるさん」 西炯子
 今読むと「娚の一生」のラストはタイムリーすぎる。西先生の主人公はどうしていつもこんなに後ろ向きなの?
「JIN−仁−」 村上もとか 言わずと知れたヒット作。いつか「龍」も読もう。
「キングダム」 原泰久
 人の死に数のスケール大きさがこの国のスケールを物語る。これも少し寝かせます。
青い花」「放浪息子」 志村貴子
 日本で数少ないジェンダーをネタに書き続ける作家さん。貴重です。
「清々と」「おひとり様物語」 谷川史子 ストレートな志村貴子という印象。
鉄風」 太田モアレ 
 「廻」ほど展開が早くないのでやきもきさせられるんだけど、これはこれで総合格闘技の面白さを読ませる。主人公よりも片桐はいり似の先輩がカッコイイ。
「このSを、見よ」「さくらんぼシンドローム」 北崎拓
 エロマンガではないメジャー誌でこれだけストレートに性について描ける作家さんはいない。
青空エール」 河原和音
 自信がない人が自信を持つのは並大抵の過程じゃないんだね。
「裁判長!ぼくの弟懲役4年でどうすか」 松橋犬輔
 ノンフィクションなのが凄い。こんな人いっぱいいるんだろうな。気が滅入る。
「彼女を守る51の方法」 古谷兎丸
 震災後に読んだ大地震シュミレーション作品。ラストの強引さが若干気になるけど魂は合ってる!
もやしもん」「純潔のマリア」 石川雅之
 「もやしもん」はもっとスケールの大きな話に展開して行ってほしいんだけど…。
君に届け」 椎名軽穂 この人たち部活してるの?あ、恋部か。
「ケッコーケンコウ家族」 栗原まもる 
 「君に届け」みたいなキャラクターでこのネタをやるのが面白い。みんな酵母をとりましょう。
町でうわさの天狗の子」「雨無村役場産業課兼観光係」 岩本ナオ
 少女マンガで妖怪ネタって結構人気ジャンルなんだな。この作家の地方を見るスタンスがいい。
「ナッちゃん」 たなかじゅん 
 「とろける鉄工所」よりも技術的な面白さを見せる。どうしても下町のもつ焼き少女を思い出させる。
「営業の牧田です」 かわすみひろし 
 仕事に私情挟みすぎ女にフラフラし過ぎだけどビール業界と小売店とのやり取りがなかなかリアルで面白かった。
「雑草女」 朝基まさし 
 人間として扱われないADのお姉さんが架空の読者からの悩み相談に応じる風のギャグエッセイ。内容はほぼ竹原慎二のボコボコ相談室の「全部お前が悪い」と同じくらい身も蓋もなく「そんなの悩みのうちに入りません」が答え。そんな生活してればそうだよね。
「アゲイン」「モテキ 4.5巻」久保ミツロウ 
 最近流行りのやり直し系マンガの「アゲイン」。この人応援好きだよね。そう言えば梅図かずおの同名の作品があったよね。
「みかこさん」 今日マチ子
 なんてことない日常生活を描いた作品なんだけど一話一話の締め方がまるで俳句のような渋さ。ついつい読んでしまう。ネットで全部読めます。
「ニコイチ」「ライアー×ライアー」金田蓮十郎
 キャラクターの可愛いらしさと設定のハードルの高さがハンパないのとそれが解決する展開がいつも読めない。
いとしのムーコ」 みずしな孝之 
 飼い主とペットの意思の疎通のズレが妙にリアルだったりする。それが何かの問題になるわけでもなんでもないんだけど。
「係長 島耕作」 弘兼憲史 
 偉い人は思いつきで物を言うのをやめて欲しいね、今のクリスマスツリー編。
山賊ダイアリー」 岡本健太郎
 空気銃の奥の深さを知る。淡々と怖い描写も。もうすぐ1巻発売!
喧嘩商売」 木多康昭
 真面目部分と不真面目部分が両方面白いのは珍しい。
「バンビーノ 7〜9巻」 せきてつじ 
 外食産業の酷さをよく描いているけど、現実の酷さがそれをさらに追いぬいている感がある。
へうげもの13巻」 山田芳裕
 アニメはどこまでやるんだろう。利休編までかな。石田三成に共感しまくりなんだが。
僕の小規模な失敗」&「生活」福満しげゆき 
 「失敗」は青春マンガの傑作。「生活」の赤ちゃんがキモ可愛い。
鈴木先生 11巻」 武富健治
 終わってしまった。この作品から教わったことは本当に多い。「もしドラ」とか読んでる場合じゃないよ。
きのう何食べた? 5巻」 よしながふみ 
 来年の正月のシロさん実家帰省話が楽しみ過ぎる。
3月のライオン 6巻」 羽海野チカ 言うことは特にない。
さすらいアフロ田中」 のりつけ雅春 「やりましょう」
ネイチャージモン」 刃森尊
 この人のマンガをこんなに読めたの初めてだよ!原作があるからなんだろうけど。
海獣の子供」 五十嵐大介
 まだ結末読んでない。書くの疲れてきた。絵が凄い。(そんな投げやりな)
「珈琲時間」 豊田徹也
 大好きな珈琲をネタにしたオムニバスマンガ。新作「アンダーカレント」も読みたいけど高い。
刻刻」 堀尾省太 
 面白いのか面白くないのかすらよく分からないのだけれど読んでしまう。
テレプシコーラ」 山岸凉子
 これ読んでから「昴」が読めなくなった。
バチバチ」 佐藤タカヒロ 
 現実世界の方が作品の足を引っ張ってる気がする。

 来年はマンガは少し抑えめにします。やんなきゃいけないこともあるので。今年も面白いマンガをありがとうございました。あと長々と読んでくれた人も。

最近買った漫画のこと。

 最近色々と気になる漫画の新作が発売されたので買う。買ってないけど「ヒストリエ」の7巻が出てたな。また読み直ししとかないと分からなくなるので寝かせておくことにする。
「リアル」 11巻 井上雄彦
アオイホノオ」 7巻 島本和彦
「プロチチ」 1巻 逢坂みえこ
ブラック・ジャック創作秘話〜手塚治虫の仕事場から〜」 原作 宮粼克 漫画 吉本浩二
さすらいアフロ田中」 5巻 のりつけ雅春
「バンビーノ!」 9巻 せきやてつじ
「ピコピコ少年 TURBO」 押切蓮介

REAL 11 (ヤングジャンプコミックス)

REAL 11 (ヤングジャンプコミックス)

 「リアル」は野宮と高橋の両方のドラマがようやく動き始めた感じ。続きはまた来年。野宮はまだ18歳なのか。ホフゥゥゥ(ため息)。この先が読めない世の中においてこのマイペースぶりが羨ましい。高橋君がバスケを始める頃俺は今の仕事をまだしているのだろうか。次の巻が出る頃、まだ元気で漫画を買ってる余裕が俺にあるといい…な。
アオイホノオ (7) (少年サンデーコミックススペシャル)

アオイホノオ (7) (少年サンデーコミックススペシャル)

 今回の「アオイホノオ」恒例のオビの釣りは原○則。いつになったら炎は漫画を描くのか。どいつもこいつも…。まあ、そこを引っ張るのがテーマみたいなものだからしょうがないのだけれど。俺はあだち充も今回の原○則(バレバレですけど)も通過していないので、庵野秀明ガイナックスの裏話の方が面白かったりするのだけれど。
プロチチ(1) (イブニングKC)

プロチチ(1) (イブニングKC)

 「プロチチ」は「火消し屋小町」の逢坂先生の新作。お父さんが育児をするという最近話題のイクメン(嫌いな言葉だ)漫画なのだけれど、そこは「ママはテンパリスト」(最新刊が出てた!)にも育児の先輩として登場していただけあって、主人公がアスペルガー症候群だというヒネリが加えられている。「斉藤さん」と同じように読者に戦いを挑んでくるタイプの漫画なのではあるが、戦い方の方向性が若干違うので「斉藤さん」が苦手な人にもお勧め(ちなみに俺は「斉藤さん」全巻持ってます)。 「ブラック・ジャック」を最近読み直している。そのきっかけはこの「ブラック・ジャック創作秘話」ではなくて、渡辺ペコの「にこたま」3巻に畸形嚢腫が登場してくるエピソードであっちゃんがピノ子を思い出すところで、俺も「ブラック・ジャック」を思い出したのだった。「ランダバウト」もそうだけど、渡辺ペコ(なんとなく先生ってつけづらい…)は自分の好きなものを作品の中にすり込ませるのが絶妙に上手い。で、何冊か読んだ後に「ブラック・ジャック創作秘話」を読むと、あのクールなタッチと汗だくで描いている手塚先生の姿のギャップに衝撃を受ける。俺は子供の頃に読んだ「ザ・クレーター」がトラウマになっていて、しかも「まんが道」での神格化された手塚先生のイメージがあってちょっと近づきがたい存在だったのだが、この漫画でその距離はキュンと縮まったのを感じた。ホント手塚先生がメーワクなほどかわいいのだ。胸キュン(死語)ですよ。
さすらいアフロ田中 5 (ビッグコミックス)

さすらいアフロ田中 5 (ビッグコミックス)

 「アフロ田中劇場版」の予告を観たけど心配だ。間で笑わせる漫画なのにドタバタで笑わせようとしているところとか致命的なミスがちらほら見える。映像化する人はその漫画をちゃんと読んでその漫画がなんで面白いのか分析して欲しいね。今年の夏にこうの史代の「この世界の片隅に」もズタボロにされた記憶も新しいし、「GANTZ」も「映像化は色んな意味で無理でした」というパーフェクトアンサーも頂いたばかりだというのに。そして、一番怖いのは中途半端な映像化で連載の勢いさえも奪いかねないという負の連鎖。「さすらい〜」もフラフラといつの間にかシリーズの半分まで来てしまったけど、このシリーズって実は「島耕作」的な階段の上り方をしているのだろうか。上がってんのか下がってんのか分からないけど。
バンビ~ノ! SECONDO 9 (ビッグコミックス)

バンビ~ノ! SECONDO 9 (ビッグコミックス)

 「バンビーノ」は長かった土屋との対決が終了。落とし前の付け方がいい。今度の相手はマッチョ野郎。バンビと似たような甘さを持つ自分にとって苦手なタイプを次から次へとよくまあ思いつくよ。「ファイブスター物語」のミラージュが好きなところまでニセなくてもいいよ!セカンドシーズンも佳境に入って来た。連載も途切れずコミック化が早いのもいい。
ピコピコ少年TURBO

ピコピコ少年TURBO

 待望の「ピコピコ少年」の続編「TURBO」。俺の母さんもファミコンをやっていたら「またピコピコやって!」と怒っていたものだ。今のゲームはピコピコ音はしないよね。小学校の頃、友達を作るスキルの低い俺でもさして親しくないクラスメートの家をくまなく知っていた。そして彼らが何のソフトを持っているのかも。その人間性はゲームを通して暴かれる。金持ちでいけすかないと思っていたT君が「エキサイトバイク」を好きなだけやらしてくれた時「こいつ意外と器がでかいぜ」と思ったものだし、呼ぶだけ呼んどいて自分のプレイだけ見せつけるKは「あいつはケチくさい野郎だ」と未だに引き合いに出される。
 友人のSはファミコンが発売される前にエポック社で発売されたハード「スーパーカセットビジョン」を持っていた。ソフトは「ベースボール」の一本だけ。が、彼の家には大勢の近所の子供たち(俺も含む)が訪れ、連日満員御礼状態だった。彼が学校から帰ってくると「お友達が来てるわよ」と母から言われ「なんか約束してたっけ」と部屋をのぞくと、さして仲良くもない子たち(俺も含む)が勝手にゲームをやっていて、「やあ、いないから先にやってたよ」としれっと言われショックを受けたという。それからしばらくしてファミコンが発売されると彼の家に訪れる子供は全くいなくなり、彼がファミコンを持っている子供の家に遊びに行くと皆自分のプレイする時間を奪われたくないばかりに「何しに来たの」ぐらいな態度で接したらしく、彼はまたショックを受けたという。そして、ある日彼は俺の家にもやって来た。「さんざんゲームやらしてあげたんだから俺にもファミコン貸してくれてもいいんじゃないかと思ってさ」。もっともな言い分だ。だけど俺のファミコンは兄貴との共同購入なので自分の一存だけでは貸せず、兄貴に消えるような声で「あの、Sがファミコンを数日貸してほしいって言ってるんだけど…」と兄貴に言うと、
「ァアン?、追い返せ」
と物凄い形相で言われ、「アメガフッテルカラカセナイ」という「ブラックレイン」のケイト・キャプショーのカタコト日本語口調の言い訳しか出てこなかった。言った時のSの表情が忘れられない。彼とまた友人になれたのは社会人になってからだ。未だにそのことは言われる。

 押切蓮介は過去を美化しない。その正直さが信用できる。というか他人の気がしない。今さら思ってもしょうがないことなのだけれど「あの時間を何か別の事に使っていればもっとすごい事が出来たかもしれない」と思うことはよくある。自分に子供がいたらゲームをやらせるだろうか。親はどんな気持ちで子供がピコピコをやっているのを見ていたのだろう。それを思うと切なくなる。

「マネーボール」を観る。

タモさん 「『カーネーション』は2話のあいだに子供が二人も生まれてたね」
俺 「そうですね!」
タモさん 「かわいそうに糸子の恥じらいの初夜シーンとかを期待してた人もいたらしいよ」
俺 「そうですね!」
タモさん 「なんでも同意すればいいってもんじゃないよ」


 久々の休日。午前中ようやく冬タイヤに取り換え、午後は両親と大豆の収穫。夕方二人を仙台に送り出した後、ここから31キロ離れたシネマ・リオーネ古川まで車をぶっ飛ばして20時の回の「マネーボール」を見に行く。

 上映前の予告編は「麒麟の翼」、「聯合艦隊司令長官 山本五十六 太平洋戦争70年目の真実」、「セカンド・バージン」の邦画のみ。「マネーボール」を観に来る観客にこれらの予告編を見せたら見に来てくれるかなぁ。ここの公開予定表を観る限り、俺が観たかった予告編は「ミッション:インポッシブル ゴースト・プロトコル」「ワイルド7」「マイウェイ 12,000キロの真実」あたりだけどな。レイトショー価格の時間帯をわざわざ狙ってくるお客に他のシネコンでも観られるラインナップをこの劇場で確実に観てもらおうと思ったら、客の好きそうなラインナップの傾向のようなものをピンポイントで当てていくくらいの事しかできないと思うけどな。Amazonのおすすめの方がよっぽどいらないくらい正確に攻めて来るよ。
 色々なところで書かれていることだけど「マネーボール」で描かれていることは、様々な業界にも当てはまる。上の予告編だけ取ってみても、東野圭吾原作だから、戦後70年目だから(なのか?)、NHKのドラマで話題になったから、ぐらいの根拠でしか製作されてないような気がするが、企画会議でこれらの理由に一介の会社員が反論しこれに代わる当たる企画は何かと問われることを考えれば、ビリー・ビーンの証明しようとしたことの難しさとプレッシャーは想像がつく。
 「この選手が成功する」「この企画が当たる」なんてことを証明することなんか誰にもできない。できることは与えられた予算でどれだけそれに近づくことができるかという手段を模索することだ。そういう意味では前回色々文句も言ったけどドラマの「火車」はファンの理想を言えば切りがない原作のどの部分をどの客層に向けて作っていったかを考えれば相当頑張ったし、結果も出てた。でも、それをなし得たのは製作者たちが原作の「火車」をジョナ・ヒルが野球選手たちを見るような冷静な眼で分析していたからだと思うのだ。
 ブラッド・ピットはいつになくわかりやすいカッコ良さでビリー・ビーンを演じてる。そのカッコ良さは下手すりゃジョナ・ヒルとBLモノが一本作れそうなレベル(なんでそっち?)。この作品を観てジョナ・ヒル出世作「スーパーバッド 童貞ウォーズ」を借りようと思ったんだけど、家の近所(と言っても10キロぐらいはある)のTutayaにないんだよね。取り寄せようにもタイトルがなぁ。あと、単年契約でブーたれてる監督にフィリップ・シーモア・ホフマン。これが物凄い貫禄があるプロ野球の監督の見た目になってて驚いた。

 ビリー・ビーンが娘とギターショップへ行くシーンにグッと来るものがあった。ホントね、娘がいてこんな歌歌ってくれればいいですよ。現実には「いきものがかり」とかなんだろうけど。




 冒頭の血染めの折り鶴はアレですか。そこでベタに泣かせると見せかけて、実はトリックとかなんですよね。青年が轢かれるシーンはアレですよね。轢かれたんじゃなくて、轢かれるの待ってたんですよね。最高傑作ですもんね。ナニかあるよね。


 この映画はアレですよね。偉そうな人が偉そうな人たちがいっぱいいる部屋の中でエラそうな台詞をいうだけの映画じゃないですよね。それじゃいつものアレと一緒ですもんね。「激動の昭和」四部作、「人間の条件」六部作、「戦争と人間」三部作を観た僕にも初めて明かされる太平洋戦争の真実があるわけですよね。そうだよね。


 この映画はアレですよね。テレビで見せられない物が当然映ってるわけですよね。じゃないと1,800円払って観る人がかわいそうですもんね。それで「ミッドナイト・エクスプレス」とか「ブロークダウン・パレス」ばりな展開を見せるわけですよね。そうだよね。

「コンテイジョン」を観る。

 昨日は映画の日。シネマ・リオーネ古川で「コンテイジョン」を観て来た。若干早めに着いたので、受付で席を確保するとポイントでフリーポップコーンのチケットを渡される。眠くなるので映画観る前と観ている間は基本的に物を食べないようにしているのだが、タダ券には弱い人間なのでとりあえずキープしておく。
 待合ロビーで開場時間を待っていると、先に「マネーボール」20時の回の開場が始まったようでアナウンスが始まる。・・・誰も行かない。ちょっと待て。今日は映画の日だぞ。最後の回だけどさ、いないの誰か。あまりに切ないので俺が入ろうかと思った。従業員の様子を見ても特に動じることもなく、こんなこと良くあることなんだろう。様々なショップやアトラクションの複合施設なので映画館だけの責任でもなくて、イオンモールが近くにできるまではそれなりに混んだ場所だったんだろうけど、一度人を呼べない場所になってしまうとトコトン人が寄り付かない寂しい場所になってしまうんだろうな。
 「コンテイジョン」は10人ぐらいいたから良かったけど、ひとりで鑑賞とか作品の選びようによってはあるかもね。そんな家でDVD観てるのと変わらない状況だけは勘弁してほしいもんだ。ちなみに自分は映画館に足を運んでいる方の人間だと思うけど、映画館貸し切りは今のところ体験したことはない。
 本日の予告編は「麒麟の翼」「聯合艦隊司令長官 山本五十六」「Friends もののけ島のナキ」「ミッション:インポッシブル ゴースト・プロトコル」「マイウェイ 12,000キロの真実」と前回よりも多い。どういう基準で変るんだろう。「マイウェイ〜」でチャン・ドンゴンがきれいな日本語を話していたけど、「ロスト・メモリーズ」でも日本語を話す役だったもんな。「シュリ」のカン・ジェギュの新作だから一応チェックしておく。

コンテイジョン」は疫病が世界中に蔓延していく過程を描いた作品で、もっと怖い映画なのかと思っていたけど、人が感染して死んでいくシーンを強調して恐怖を煽るような演出はなく、淡々とその過程を追っていくドキュメンタリーを見ているような作風の映画だった。単純に面白く、興味深く観ることができた。
 人々がお互いに接触できず、土地の移動もできなくなるため、都市機能が停止し、周りの環境がどんどん危険にそして不衛生になっていく様は本来とてもショッキングな場面のはずなのだが、数ヶ月前に似たような状況を体験しているとあまり違和感がない。ネットで様々な情報が錯綜する描写なども的確で、本当にこういう事態が起こったら、この映画で起こるようなことが起きるということも証明されてしまっているということでも説得力のあるシュミレーション映画になっている。
 ウィルスや放射性物質というのは世の中にあるもので、それ自体が何か悪者なわけではなく、そのごくわずかしか判明されていないもののなかで生きている人間に影響があるかないかの違いがあるだけでそう判定されているだけのことなのだ。恐怖を作り出しているのは誤った情報を流しても自分が正しいと思い込んでいる人間の方だったりする。
 昨日も福島のガレキの処理をめぐってひと騒ぎあったみたいだけど、日本中にひと通り放射性物質が飛び散ったことが判明しても、福島だけを特別視することで自分たちの事とは関係ないとみなしてしまうことの意味の無さに気づいていないか、気づきながらも楽しんでやっているとしか思えない人がまだ日本にはたくさんいるんだなと知る。世界から見たら福島だろうが佐賀だろうが国としてひと括りなんだけどね。ほんとガレキを全県で均等に割って処理すればいい。自分の畑の前にそんなんが来るのは俺もいやだけど、福島の人たちだってそれはそうでしょ。でも、実際自分たちの近くで起こらなきゃ理解はしないんだと思う。俺も神戸の地震の時も東海村の臨界事件の時もそうだったから。でも、ギリシャで国が機能しなくなって、この映画のようにゴミが放置されている場面なんかをニュースで見ると、これだけどんなことでもありえる世の中になっているのに、起こっている事象から目をそらすことは自分たちにとって何のプラスにもならないのにね。
 石巻で自分の家も流されながら船で人を助けてた人から直接聞いた話だけど、あれだけ異常な状況になっても頑なに来るべきところから来るはずの救助を待っていた人たちは助からなくて、自分たちでその状況から逃げようとした人は助かったということは確かにあったということだ。どれだけ自分で正確な知識を身につけ来るべき状況に備えるか。当たり前に身のまわりにある環境がいかにもろいもので、それを守るために国が抱えきれない借金をしているということを、身内や友人を誰一人失わずに身をもって知ることができて自分は本当にラッキーだったと思う。
 とてもわかりやすく責められやすいポジションにいたローレンス・フィッシュバーンの自分の身のまわりにいる人たちへの接し方と我が物の正義面ではしゃいでいたジュード・ロウが恋人に対してとった行動の対比からも、こういう状況でどう人は動くのか、動くべきなのかをさり気なくかつ迷いなく提示しているところもいい。
 とても役に立つ映画だ。俺は映画が好きだけど、映画が現実に対して持つ限界も感じてる。もし映画が自分にとって役に立たないモノだったら、今ならいつでも観るのをやめることができる。そうならないで欲しい。

「火車」を観る。

 仕事から帰って来て、また「カーネーション」を観る。まあ、毎日観てるんだけど。糸子が唐突に結婚することになる。男とくっついてどうこうという話に転がるようなドラマだとは思ってないけど、渡辺あやが夫婦の夜の営みをどう朝ドラで描くのかが気になる。「おひさま」みたいに「お前らいつの間にヤってたんだ、あの夜か!あの夜だな!」的なモヤモヤを起こさせないで欲しい。って、何を期待してるんだ、朝のドラマに。

 その後、録画しておいたドラマスペシャルの「火車」を観る。放送時は結構話題になってて評判も良かったみたいで、でも概ねその話題は佐々木希の使われ方に集中していたような気がする。原作読んでいる人間ならキャスティングの時点でかなり原作に忠実な作りなんだなとピンと来たはず。以前財前直美主演でドラマ化されていたけど、とても原作通りに作られるわけがないと思って観なかった。でも、監督は池広一夫だったのな。観れば良かった…。

 今回の監督は橋本一。「探偵はBARにいる」を監督した人だったんですね。どうりで冒頭の追跡劇が近年なかなかお目にかかったことがないほど力が入ってた。90年代っぽさを出すために色々工夫をしていましたが、当時のサラ金地獄などのリアリティを今に人にピンとこさすにはちょっとこういう画質と顔が欲しかったですね(あと矢印)。

 で、佐々木希の肩に手をおいたところでこれがかかってラスト。

 家庭教師のトライだけにしか使われないなんて悲しすぎる。まあ、それはいいんですけど、原作はラストが描かれない結末なので、これにあれ以上の解釈をつけるのは「ミスト」ばりに大変だとは思います。当時原作を読んだ時の衝撃はすごくて、それから「模倣犯」までの宮部みゆきの作品は読み切りの短編まで含めて全部読みました。「模倣犯」以降のファンタジーものや時代ものはパスしてましたが、最近ひさしぶりに「誰か」を読んだら、小品ながら自転車によるひき逃げ事件を追うという「火車」的な人探しの物語になっていて面白かった。宮部作品は文体自体が読む側に映画かドキュメンタリーを観ているかのような視覚を与えてくれるので、そこで一度出来上がってしまった映像を越えるのが至難のワザな為映像化されるのが非常に難しく、これまで成功した例はほとんどない。「ガンツ」をわざわざ映画化するのと同じようなもんだよ。でも、ウシジマ君に連なる作品の走りとも言える作品なので原作にも手を伸ばしてもらいたいです。

 佐々木希は今の人を呼び込むにはいいキャスティングでしたが、それこそ出演していた若い頃の美保純だったらラストはもっと眼だけで訴えかけて来るものがあっただろうなと思います。

火車

火車

誰か ----Somebody

誰か ----Somebody

「ロープ」とスポーツ映画ベスト10のこと。

 仕事から帰ってきて今日の「カーネーション」を観て、また泣く。
 先週の予告で糸子が泣いているシーンがあったので、「まだ泣いてんのか」と思ったけど(俺もだけど)、今日の泣きは質が違う重い泣きだった。オトンがクリスマスケーキをひっくり返すシーンで、東村アキコの「ひまわりっ」で健一がクリスマスケーキの箱を横にして自転車のカゴに入れてゴキゲンで帰ってくるシーンを思い出した。終わり頃の数分で宝田明と十朱幸代がすっかり老けこんでしまって、糸子が唯一の逃げ場を失うシーンが素晴しすぎる。親が急に年寄りに見える一瞬って切ない。俺はもう見てしまったけど。
 その後「へうげもの」を観る。今週火曜のTBSラジオ「キラキラ」の3時台のコラムに出演してた長嶋有が言ってたけど、漫画とアニメの決定的な違いは白黒かカラーかってこと。漫画をアニメ化したものがたとえそれがかなり原作に忠実に作られていたとしても自分が思っていたものとイメージが違うと感じることが多いのだけれど、それは自分が思っていた色のイメージが違うってことなんだろうな。そういう意味で「へうげもの」はかなり頑張っていると思う。「江」がちょっとアレなので、今年の裏大河だと思っている。時代もかぶってるしね。

 その後先日録っておいたヒッチコックの「ロープ」を観る。前に観た時は映画を観始めた頃で、ワンカットに見えるようにつないであるなんてこと知らないままでも十分面白く観たのだけれど、久々に観てすごく面白かった。なぜか宇多田ヒカルの「Goodbye Happiness」のPVを思い出した。自分たちの優秀さを示すためだけに完全殺人を目論むエリート大学生二人組が催したパーティをリアルタイムで追った作品で、冒頭何者かもわからない若者が絞殺されるところから始まるんだけど、段々にこの青年がいかに色んな人から愛されているかがわかって来て胸が締め付けられる。窓の外の雲が段々不気味になっていくのも気持ち悪い。

 昔観た時よりもジェームズ・スチュアートより殺された青年の父親の方がとても魅力的な人間に見えてきて、自分も人の見方が変わったんだなと思った。逆にかつて自分が不用意に言った言葉の責任が思わぬ形で帰って来たことを知ったジェームズ・スチュアートがうろたえて逆ギレするシーンの方が怖い。(下の予告編には殺される青年がきっちり映っている。撮ってはあったんだね。)

<紛らわしくてすいません。これはカウントしないでください>
 先日エントリーしたワッシュさんの「スポーツ映画ベスト10」に寄せられた他の人のエントリーを読んで「ローラーガールズ・ダイアリー」のランクインが多いのに気づく。いいとは聞いてたけどここまで好きな人が多い映画だったとは。劇場で観とけば良かったなと悔しく思う(世間の人が自分の知らないものを面白がっている状態が許せないタイプ)。

 「サルート・オブ・ザ・ジャガー」ってスポーツ映画だったのか!予告編を見る限りスポ根要素がばっちり入ってるよな。昔ビデオレンタルで観るか観ないか迷った末観なかった作品なんだよな、これ(少ないこづかいでどちらを観るか2時間ぐらい迷ってたタイプ。その間に一本観られたよな)。「バトル・ランナー」も入れようか迷ってた作品で、公開当時は評判があまり良くなかったけどテレビで観て凄く好きだった作品。殺人ハンターの特技がみんな変テコで愛くるしい。今のトーチャー映画の身も蓋もなさを考えると、あの頃の能天気な暴力は貴重だなと思う。あのくらいゆるくなかったら怖すぎて映画を好きになってなかったかもしれないしね。

 ケビン・コスナーは「さよならゲーム」とか「フィールド・オブ・ドリームス」とか面白い野球映画に結構出てて、人気が落ちかけてた時にその野球映画で復活を目論んでいた感じが「ラブ・オブ・ザ・ゲーム」を素直に観させてくれなかったんだよね。いい映画だったよな〜とは思ってたんだけど。もう一回観直してみたい。ランキングには入れなかったけど「エイトメン・アウト」は硬派で野球愛に満ちあふれた野球映画傑作で好きな作品。ファンタジックなバリー・レビンソンの「ナチュラル」もいい映画だった。


 アメフト映画は結構好きで色々観てたけど「リプレイスメント」は観てなかった。結構挙げてる人いたな。今度観てみよ。若いのに額が後退しているジェームズ・ヴァン・ダー・ビークが主演してた「バーシティ・ブルース」も地味にいい映画だった。チアリーダーの子が自分の体にホイップ・クリームを塗って主人公を誘惑するんだけど、こいつがそれを拒むのが許せなかった。留学してたテキサスのミッドランドの隣町オデッサを舞台にした「フライデーナイト・ライツ」の映画化「プライド 栄光への絆」も高校のアメフトの試合しか娯楽がないテキサスの田舎の雰囲気が良く出てた。「スリング・ブレイド」のルーカス・ブラック君が男前になっててびっくりする。土壌のカルシウム含有量が多いせいなのか向こうの人はホント成長して変るよね。


 「エージェント」は大好きな映画なんだけど、もしエントリーするなら種目はスポーツ・セックスにしたい。渋谷シネマヴェーラで観た金子修介監督のピンク映画「宇能鴻一郎の濡れて打つ」を観た時は「デス・ノート」の監督がこんなの撮ってたんだと知って驚いた。すげー笑ったなぁ。他の方が言ってましたが、この作風が後のAVの原型になったのかもしれないという説は大いにうなずける。

(大好きなシーン)
 最近漫画だと「弱虫ペダル」「のりりん」などがヒットしてて世間的にもブームな感のある自転車を題材にした映画は結構出てるけど、意外と「クィックシルバー」は出てないな。あんま好きな人いないのかな。スポーツというよりはメッセンジャーの映画なんだけど、社会人のスポーツモノとしては結構佳作だと思う。まだ若造の頃のローレンス・フィッシュバーンなんか出てたりしてね。

  プロレスはあまり詳しくないけど「ゼイリブ」の路上のファイトシーンは生身の体をガツンガツンにアスファルトに叩きつけてて妙に痛そうだったのを覚えている。次の日友達の竹下君が「ロディー・パイパはアメリカで人気のレスラーなんだぜ」と教えてくれて「なるほど」と思った記憶がある。二人で「ベストキッド」ごっこやったよな。でんでん太鼓とか。彼は何してんだろ、今頃。

 「江」で思い出した変なスポーツ映画があったよ。「カルフォルニア・ドールズ」を参考にしたという青春映画の傑作「ロボコン」の古厩智之監督の「奈緒子」。いちおう駅伝が題材なんだけど上野樹里三浦春馬にひたすら付きまとうだけの映画。種目はストーキングだね。長距離走なのに三浦春馬が何度も短距離走のようなラッシュをかける展開にクラクラした記憶がある。駅伝は新年にコタツで見る箱根駅伝の蓄積されたカメラワークがいかに素晴しいかが良くわかった。ホントあの頃こんな映画を見に行くほど上野樹里が好きだったのにな。「江」で彼女は女優として成長したのは間違いないのだけれど、俺の彼女への興味も無くなった。わざわざ「みんなのうた」の「ジージの絵手紙」聞くほど好きだったのになぁ。
 しかし、「妻は告白する」は渋いなぁ。

ひまわりっ ~健一レジェンド~(1) (モーニング KC)

ひまわりっ ~健一レジェンド~(1) (モーニング KC)

スポーツ映画ベスト10

 人気ブログ「男の魂に火をつけろ!」のワッシュさんが主宰する年末恒例の映画ベスト10。去年は「続編映画ベスト10」で期限ギリギリで滑り込ませて貰いましたが、今年は早めに提出するよ。

 今年のお題は「スポーツ映画ベスト10」

 「ロッキー」とか「カルフォルニア・ドールズ」とか名作は出されているし、リアルタイムじゃないので若く多感な頃影響を受けた作品と、地味だけど心に残る「…そっと踏んでほしい、私の大切な夢だから」的な作品を選んでみました。

1.サンド・ロット/僕らがいた夏(1993年米、デヴィッド・ミッキー・エヴァンス監督、トム・グイリー君主演、草野球)
2.ベスト・キッド1984年米、ジョン・G・アヴィルドセン監督、ラルフ・マッチオ主演、カラーテ)
3.グレート・ブルー(1988年仏、リュック・ベッソン監督、ジャン=マルク・バール主演、フリー・ダイビング)
4.クライング・フィスト(2005年韓国、リュ・スンワン監督、チェ・ミンシクリュ・スンボム主演、拳闘)
5.ルディ/涙のウイニング・ラン(1993年米、デヴィット・アンスポー監督、サム主演、アメ・ラグ)って言うな。
6.柔道龍虎房(2004年香港、ジョニー・トー監督、ルイス・クー主演、柔道)
7.クール・ランニング(1993年米、ジョン・タートルトーブ監督、レオン主演、ボブスレー
8.コーチ・カーター(2005年米、トーマス・カーター監督、サミュエル・L・ジャクソン主演、バスケボゥ)
9.マラソン(2005年韓国、チョン・ユンチョル監督、チョ・スンウ君主演、マラソン
10.グレイテスト・ゲーム(2005年米、ビル・パクストン監督、シャイア・ラブーフ君主演、ゴルフ)
順不同

 「サンド・ロット」は空き地に集まった少年たちの野球版「スタンド・バイ・ミー」的な作品。都会からやって来たもやしっ子が野球を通じて友だちを作り、ぎこちない父との関係を修復していく。運動音痴のメガネが市民プールでセクシーな監視員のおねえさんの唇を溺れたふりして奪うシーンが負け組の勝利シーンとしてインパクトに残る。

 リメイク版がなかなか評判でオリジナルが忘れ去られそうなのが寂しい「ベスト・キッド」はみられ続けて欲しい作品。ラルフ・マッチオの弱々しさがあまりにリアルでかつての自分に重ねてみずにはいられない。高校の頃テキサスの片田舎に一年留学したときに、出会った人ほぼ全員が俺の顔を見ると「ワックス、オン、ワックス・オフ」の手振りをしたりとか、「お前、箸でハエ捕まえられるか?」と聞いてきたほどよくアメリカ人に観られていた作品。

 最近のリュック・ベッソンがちょっとアレなため好きな映画と言い辛くなっている感はあるものの、好きだったのは間違いない「グレート・ブルー」。完全版が「グラン・ブルー」として再上映されて日本でもかなりヒットしたけど、個人的には先に観たこちらの方がタイトで好きだ。最近残念な感じのギリシャだけど、この作品を観ていると行きたくなる。この作品でジャン・レノラッセンが日本でブレイクした。(ホントかよ)。

 「明日のジョー」が実写で映画化されると聞いたとき真っ先に「もう『クライング・フィスト』ってタイトルで映画化されてますけど」と思った。リュ・スンワン監督の不良性が「ジョー」との相性の良さを感じさせてしまう。個人的にボクシング映画ベスト1はロバート・ワイズ監督の「罠」だと思っているけど、今現在の撮影手法の映画でのベストは本作だと思った。

日本でアメフトをやっていてこの作品を観ていない人はモグリだと言っても過言ではないほど観られている「ルディ」。試合のシーンがほとんどないので公開時テキサスでは「クォーター・バック」の方が人気があったけど、どちらが名作かは歴史が証明している。「クォーター〜」も面白いけど。チャールズ・S・ダットンの終盤の台詞が泣かせる。実話じゃなかったらルディはほとんど正気とは信じられないけど。

 柔道映画って「三四郎」以降「柔道龍虎房」しかないんじゃなイカ?ヤクザが抗争で銃も刃物も使わず柔道で戦うという、中学時代柔道部で一応黒帯持ってる俺の頬もついほころぶ世界設定がいい。立ち技よりも寝技が得意だったという人(俺)には漫画だけど「オールラウンダー廻」がお勧めです。黒澤版の「三四郎」もいいけど、岡本喜八版の「三四郎」もね。

 テキサスに留学してた頃にヒットしてた「クール・ランニング」。ジミー・クリフの「I can see clearly now」もヒットしてた。俺にとっての懐メロ映画。主演のレオンはバスケットボール映画の佳作「ビート・オブ・ダンク」でも好演してた。(おお、ジョン・キャンディも出てたんだ!)

アメリカの高校バスケものはハズレがない気がする。バスケ映画よりも熱血教師モノな要素が強くサミュエルの説教映画としても楽しめる「コーチ・カーター」が最近印象に残ってる。「フープ・ドリームス」と併せて観ると、ちゃんと勉強もしとかないとこうなるという現実もよくわかる。アシャンティが可愛い。スパイク・リーの「ラスト・ゲーム」も渋いバスケットボール映画だったけど、俺的にはあれは「3Pの映画」。

 「ペース配分という概念がない自閉症の男の子を42.195キロのフルマラソンでいかに走らせるか」という脚本のコンセプトが素晴しすぎる自閉症を扱った映画としても傑作の「マラソン」。母親を追い詰める容赦のない現実の描写が凄まじくリアル。「クライング・フィスト」に並ぶ韓国映画の底力を感じさせる作品。これが韓流じゃよ。

 「フレイルティー/妄執」が傑作だったビル・パクストンの監督第2弾「グレイテスト・ゲーム」は日本ではDVDスルー。「トランスフォーマー」の抜擢される前のシャイア・ラブーフが主演のゴルフ映画。ゴルフがまだ上流階級の人々だけのスポーツだった頃(今でもある意味そうなんだろうけど)、労働者階級のアマチュア選手が全米オープンでプロと壮絶な戦いを繰り広げる実話を基にした物語。分かりやすい娯楽作として演出したビル・パクの手腕は確か。炭鉱夫の頑固親父を演じるイライアス・コティーズが泣かせる「炭鉱映画」としても楽しめます。

 気がついたら、日本映画を一本も挙げなかった!最近印象に残っているのは「ばんえい競馬」を描いた「雪に願うこと」が良かったかな。

 スキー映画を考えたら真っ先に浮かんだのが「アルプスの若大将」だった。もっとほかにもあるだろうに。

 「ユア・アイズ・オンリー」とか「私が愛したスパイ」とか「007」のスキーアクションは結構好き。「ダーティー・ハリー2」の白バイチェイスも競技っぽくて好きだなぁ。あと「クライング・ゲーム」のクリケットもほとんどシーンはないけど印象に残ってる。どういうルールなのかさっぱり分からないけど。

 あと、これスポーツじゃないのか…残念だ。