「ロープ」とスポーツ映画ベスト10のこと。

 仕事から帰ってきて今日の「カーネーション」を観て、また泣く。
 先週の予告で糸子が泣いているシーンがあったので、「まだ泣いてんのか」と思ったけど(俺もだけど)、今日の泣きは質が違う重い泣きだった。オトンがクリスマスケーキをひっくり返すシーンで、東村アキコの「ひまわりっ」で健一がクリスマスケーキの箱を横にして自転車のカゴに入れてゴキゲンで帰ってくるシーンを思い出した。終わり頃の数分で宝田明と十朱幸代がすっかり老けこんでしまって、糸子が唯一の逃げ場を失うシーンが素晴しすぎる。親が急に年寄りに見える一瞬って切ない。俺はもう見てしまったけど。
 その後「へうげもの」を観る。今週火曜のTBSラジオ「キラキラ」の3時台のコラムに出演してた長嶋有が言ってたけど、漫画とアニメの決定的な違いは白黒かカラーかってこと。漫画をアニメ化したものがたとえそれがかなり原作に忠実に作られていたとしても自分が思っていたものとイメージが違うと感じることが多いのだけれど、それは自分が思っていた色のイメージが違うってことなんだろうな。そういう意味で「へうげもの」はかなり頑張っていると思う。「江」がちょっとアレなので、今年の裏大河だと思っている。時代もかぶってるしね。

 その後先日録っておいたヒッチコックの「ロープ」を観る。前に観た時は映画を観始めた頃で、ワンカットに見えるようにつないであるなんてこと知らないままでも十分面白く観たのだけれど、久々に観てすごく面白かった。なぜか宇多田ヒカルの「Goodbye Happiness」のPVを思い出した。自分たちの優秀さを示すためだけに完全殺人を目論むエリート大学生二人組が催したパーティをリアルタイムで追った作品で、冒頭何者かもわからない若者が絞殺されるところから始まるんだけど、段々にこの青年がいかに色んな人から愛されているかがわかって来て胸が締め付けられる。窓の外の雲が段々不気味になっていくのも気持ち悪い。

 昔観た時よりもジェームズ・スチュアートより殺された青年の父親の方がとても魅力的な人間に見えてきて、自分も人の見方が変わったんだなと思った。逆にかつて自分が不用意に言った言葉の責任が思わぬ形で帰って来たことを知ったジェームズ・スチュアートがうろたえて逆ギレするシーンの方が怖い。(下の予告編には殺される青年がきっちり映っている。撮ってはあったんだね。)

<紛らわしくてすいません。これはカウントしないでください>
 先日エントリーしたワッシュさんの「スポーツ映画ベスト10」に寄せられた他の人のエントリーを読んで「ローラーガールズ・ダイアリー」のランクインが多いのに気づく。いいとは聞いてたけどここまで好きな人が多い映画だったとは。劇場で観とけば良かったなと悔しく思う(世間の人が自分の知らないものを面白がっている状態が許せないタイプ)。

 「サルート・オブ・ザ・ジャガー」ってスポーツ映画だったのか!予告編を見る限りスポ根要素がばっちり入ってるよな。昔ビデオレンタルで観るか観ないか迷った末観なかった作品なんだよな、これ(少ないこづかいでどちらを観るか2時間ぐらい迷ってたタイプ。その間に一本観られたよな)。「バトル・ランナー」も入れようか迷ってた作品で、公開当時は評判があまり良くなかったけどテレビで観て凄く好きだった作品。殺人ハンターの特技がみんな変テコで愛くるしい。今のトーチャー映画の身も蓋もなさを考えると、あの頃の能天気な暴力は貴重だなと思う。あのくらいゆるくなかったら怖すぎて映画を好きになってなかったかもしれないしね。

 ケビン・コスナーは「さよならゲーム」とか「フィールド・オブ・ドリームス」とか面白い野球映画に結構出てて、人気が落ちかけてた時にその野球映画で復活を目論んでいた感じが「ラブ・オブ・ザ・ゲーム」を素直に観させてくれなかったんだよね。いい映画だったよな〜とは思ってたんだけど。もう一回観直してみたい。ランキングには入れなかったけど「エイトメン・アウト」は硬派で野球愛に満ちあふれた野球映画傑作で好きな作品。ファンタジックなバリー・レビンソンの「ナチュラル」もいい映画だった。


 アメフト映画は結構好きで色々観てたけど「リプレイスメント」は観てなかった。結構挙げてる人いたな。今度観てみよ。若いのに額が後退しているジェームズ・ヴァン・ダー・ビークが主演してた「バーシティ・ブルース」も地味にいい映画だった。チアリーダーの子が自分の体にホイップ・クリームを塗って主人公を誘惑するんだけど、こいつがそれを拒むのが許せなかった。留学してたテキサスのミッドランドの隣町オデッサを舞台にした「フライデーナイト・ライツ」の映画化「プライド 栄光への絆」も高校のアメフトの試合しか娯楽がないテキサスの田舎の雰囲気が良く出てた。「スリング・ブレイド」のルーカス・ブラック君が男前になっててびっくりする。土壌のカルシウム含有量が多いせいなのか向こうの人はホント成長して変るよね。


 「エージェント」は大好きな映画なんだけど、もしエントリーするなら種目はスポーツ・セックスにしたい。渋谷シネマヴェーラで観た金子修介監督のピンク映画「宇能鴻一郎の濡れて打つ」を観た時は「デス・ノート」の監督がこんなの撮ってたんだと知って驚いた。すげー笑ったなぁ。他の方が言ってましたが、この作風が後のAVの原型になったのかもしれないという説は大いにうなずける。

(大好きなシーン)
 最近漫画だと「弱虫ペダル」「のりりん」などがヒットしてて世間的にもブームな感のある自転車を題材にした映画は結構出てるけど、意外と「クィックシルバー」は出てないな。あんま好きな人いないのかな。スポーツというよりはメッセンジャーの映画なんだけど、社会人のスポーツモノとしては結構佳作だと思う。まだ若造の頃のローレンス・フィッシュバーンなんか出てたりしてね。

  プロレスはあまり詳しくないけど「ゼイリブ」の路上のファイトシーンは生身の体をガツンガツンにアスファルトに叩きつけてて妙に痛そうだったのを覚えている。次の日友達の竹下君が「ロディー・パイパはアメリカで人気のレスラーなんだぜ」と教えてくれて「なるほど」と思った記憶がある。二人で「ベストキッド」ごっこやったよな。でんでん太鼓とか。彼は何してんだろ、今頃。

 「江」で思い出した変なスポーツ映画があったよ。「カルフォルニア・ドールズ」を参考にしたという青春映画の傑作「ロボコン」の古厩智之監督の「奈緒子」。いちおう駅伝が題材なんだけど上野樹里三浦春馬にひたすら付きまとうだけの映画。種目はストーキングだね。長距離走なのに三浦春馬が何度も短距離走のようなラッシュをかける展開にクラクラした記憶がある。駅伝は新年にコタツで見る箱根駅伝の蓄積されたカメラワークがいかに素晴しいかが良くわかった。ホントあの頃こんな映画を見に行くほど上野樹里が好きだったのにな。「江」で彼女は女優として成長したのは間違いないのだけれど、俺の彼女への興味も無くなった。わざわざ「みんなのうた」の「ジージの絵手紙」聞くほど好きだったのになぁ。
 しかし、「妻は告白する」は渋いなぁ。

ひまわりっ ~健一レジェンド~(1) (モーニング KC)

ひまわりっ ~健一レジェンド~(1) (モーニング KC)