「火車」を観る。

 仕事から帰って来て、また「カーネーション」を観る。まあ、毎日観てるんだけど。糸子が唐突に結婚することになる。男とくっついてどうこうという話に転がるようなドラマだとは思ってないけど、渡辺あやが夫婦の夜の営みをどう朝ドラで描くのかが気になる。「おひさま」みたいに「お前らいつの間にヤってたんだ、あの夜か!あの夜だな!」的なモヤモヤを起こさせないで欲しい。って、何を期待してるんだ、朝のドラマに。

 その後、録画しておいたドラマスペシャルの「火車」を観る。放送時は結構話題になってて評判も良かったみたいで、でも概ねその話題は佐々木希の使われ方に集中していたような気がする。原作読んでいる人間ならキャスティングの時点でかなり原作に忠実な作りなんだなとピンと来たはず。以前財前直美主演でドラマ化されていたけど、とても原作通りに作られるわけがないと思って観なかった。でも、監督は池広一夫だったのな。観れば良かった…。

 今回の監督は橋本一。「探偵はBARにいる」を監督した人だったんですね。どうりで冒頭の追跡劇が近年なかなかお目にかかったことがないほど力が入ってた。90年代っぽさを出すために色々工夫をしていましたが、当時のサラ金地獄などのリアリティを今に人にピンとこさすにはちょっとこういう画質と顔が欲しかったですね(あと矢印)。

 で、佐々木希の肩に手をおいたところでこれがかかってラスト。

 家庭教師のトライだけにしか使われないなんて悲しすぎる。まあ、それはいいんですけど、原作はラストが描かれない結末なので、これにあれ以上の解釈をつけるのは「ミスト」ばりに大変だとは思います。当時原作を読んだ時の衝撃はすごくて、それから「模倣犯」までの宮部みゆきの作品は読み切りの短編まで含めて全部読みました。「模倣犯」以降のファンタジーものや時代ものはパスしてましたが、最近ひさしぶりに「誰か」を読んだら、小品ながら自転車によるひき逃げ事件を追うという「火車」的な人探しの物語になっていて面白かった。宮部作品は文体自体が読む側に映画かドキュメンタリーを観ているかのような視覚を与えてくれるので、そこで一度出来上がってしまった映像を越えるのが至難のワザな為映像化されるのが非常に難しく、これまで成功した例はほとんどない。「ガンツ」をわざわざ映画化するのと同じようなもんだよ。でも、ウシジマ君に連なる作品の走りとも言える作品なので原作にも手を伸ばしてもらいたいです。

 佐々木希は今の人を呼び込むにはいいキャスティングでしたが、それこそ出演していた若い頃の美保純だったらラストはもっと眼だけで訴えかけて来るものがあっただろうなと思います。

火車

火車

誰か ----Somebody

誰か ----Somebody