このマンガがすごい!2012のこと。

 こんばんは、皆既日食が忘年会で見られなかった、忘年会で誰も話題にしなかった職場に勤めるJoshです。「カーネーション」があいかわらず面白いですね。わがままオヤジ演技からやけど演技と小林薫が色々と新境地。先週もヤバかったけど今週もヤバいね、きっと。
 休みなのに観たい映画が来ません。「ミッション:インポッシブル」の新作までお預けです。ついやることないと(いっぱいあるんだけど)休みになると、買いたい物も特にないのにふらっと築館に来てしまう俺はゾンビになったらきっとTutayaに来てしまうんでしょう。そう言えば14日は荒川弘の「銀の匙」の2巻が発売のはずなのですが、栗原の本屋では漫画は発売日の次の日にならないと納品されません。が、ミニストップに売ってました。本屋よりもコンビニの方が早く手に入る、これが地方です。慣れました。最近年末に発売されている「このマンガがすごい2012」を買いました。

このマンガがすごい! 2012

このマンガがすごい! 2012

 今年は「ブラック・ジャック創作秘話」と「花のズボラ飯」。「花のズボラ飯」は面白かったけど、原作の久住昌之の「孤独のグルメ」を読んで衝撃を受けたのが今年だからそのギャップの面白さとまでは行きませんでした。が、日々の料理や弁当の献立などで頭をめぐらせている奥さま方や自炊しているおひとり様(俺)などの心に花のズボラさはホッと一息させてくれる余裕を与えてくれるのは確か。個人的には毒気の部分も含めてよしながふみの「きのう何食べた?」の方が好きです。これを勧めると「ゲイなんですか?」と言われるのが難。
グラゼニ (1)

グラゼニ (1)

 男部門の2位の「グラゼニ」は確かに面白かったです。原作の森高夕次コージィ城倉だったのは知らなかった。面白いわけだ。毎年、年俸の高い人の話題はニュースにもなるけど低い人たちの事情は知らなかったし、今年は映画「マネーボール」でもその辺りが描かれていましたけど、プロになれる半端じゃない実力の人たち集まりであっても光が当たるのはほんの一握りの人たちなのだというのがよく理解できました。あれだけ少年漫画で野球というジャンルが過剰になりすぎて、彼らのその後は決して描かれません。そういう意味で最近「おおきく振りかぶって」「ベイビー・ステップ」などの冷静な眼差しで描かれるスポーツ漫画の傾向には好感が持てます。作者の「ジャイアント・キリング」の選手の年俸が気になって仕方がないというのには思わず笑ってしまいました。椿いくらもらってんだろ。
銀の匙 Silver Spoon 1 (少年サンデーコミックス)

銀の匙 Silver Spoon 1 (少年サンデーコミックス)

 酪農エッセイ漫画「百姓貴族」が超面白かった荒川弘の新作「銀の匙」は、今年は酪農関係者には色々あったのでタイミング的には最高の題材で酪農という分野のことを色々知る機会にはちょうどいいです。漫画としての間の使い方、ギャグのキレも良く面白かった。来年には「百姓貴族」の2巻も出るそうです。似たテーマを扱った映画では「ブタがいた教室」なんてのもいい作品でしたね。

あさひなぐ (1) (ビッグコミックス)

あさひなぐ (1) (ビッグコミックス)

 「あさひなぐ」は近年久々に読んだ王道のスポ根モノとして良くできている作品で、初期の頃の「はじめの一歩」のような清々しさがあります。マイナーな世界で戦う若い人たちに読んでもらいたい作品。勇気もらえるはず。戦国の世で城を守る女たちがなぜ薙刀を使っていたのかが良くわかりました。薙刀の軌道がカットで割られずスパッと気持ちよく表現されている試合シーンがいいです。

 正直マンガを本格的に読み始めたのが3〜4年前からなので、この本でベストを挙げられている方々が当然読んでいるだろう作品を最近読んでいるような状況なので、あまり知っている作品はありませんでした。あまり積極的に流行りのモノに手を出す気もなくて評価の高い「バクマン」「進撃の巨人」「ちはやふる」は読んでもあんまりピンとこないんだよね。

 今年読んだマンガで面白かった作品を思いつく限り。暇のある人は読んでみてください。
ヘルプマン」 くさか里樹
 認知症の祖母が今年逝った。あまりにリアルで打ちのめされた。日本人必読のマンガ。実はほぼ「ウシジマくん」と似たマンガの構成を持つ。闇金とは関わりなくても老いだけは間違いなく来るからね。
闇金融ウシジマくん 楽園くん〜トレンディーくん編」「スマグラー」 真鍋昌平 
 買った単行本が連載に追いついたのでしばらく寝かせておいた。あいかわらずのクオリティ。世の中良くなる要素がないからどんどん面白くなっていくだろう。映画の「スマグラー」は観なくてもダメなのはわかる。監督がアレだし。
「ぼくの村の話」「どうらく息子」 尾瀬あきら 
 「僕の村〜」は三里塚の空港闘争を描いたノン・フィクションに近い作品。放射能の瓦礫&ゴミの行く先をめぐって各地の田舎で同じような軋轢が起こってそして負けるだろう。無関心が続く限り。
「プロチチ」 逢坂みえこ 
 アスペルガー症候群の父親の子育て奮戦記。逢坂先生のキメ台詞がビシバシ決まる快感。
「ピコピコ少年」&「TURBO」「でろでろ」 押切蓮介
 この人は俺と同じ思考回路で生きていると思った作品群。ギャグをやってもどこか物悲しいのがツボ。
ママはテンパリスト」&作品全般 東村アキコ 
 どの話もほぼ同じ登場人物が出てくるだけなんだけど面白い。年代が変わるとまるで話が通じない可能性あり。
「斉藤さん」 小田ゆうあ 
 戦うだけの斉藤さんが周囲の人たちとの交流の中でぶつかるだけの解決法から解放され弱くなっていくのがいい。
ハルシオン・ランチ」&「無限の住人」 沙村広明
 今年一番の爆笑作。まだわからないネタもかなりあるはず。
ベルセルク 36巻」 三浦健太郎
 ファンタジーになってしまった第二部も読み返すと第一部とは違った面白さがある。エロ巨匠ぶりにも磨きがかかっているのがすごい。
オールラウンダー廻」&「EDEN」 遠藤浩輝
 今年一番はまったマンガ。ツンとデレの落差が怖い作家。連載は現在デレ中。
モリのアサガオ」「サマヨイザクラ」 郷田マモラ 
 絵がちょっとアレなため敬遠してたんだけど、だからこそ突き詰められる検証部分のリアリティ。ドラマにじっくりと引き込まれる。
「友達100人できるかな」&「ラブロマ」 とよ田みのる 
 日本のマンガ家にはあまり見ないネアカな個性が光る。「友達100人〜」は俺の世代にはどストライクだろうな。普段マンガ読まない人にもおすすめ。
「ムジナ」 相原コージ 
 Twitter始めて知った作家。今までピンとこなかった忍者漫画の面白さまで解説してくれる親切仕様。これで白土三平のマンガが読めるわ。
少女ファイト」「G戦場ヘヴンズドア」 日本橋ヨヲコ 
 女の線のやわらかさを描かせたらこの人にかなう人はいない。「バクマン」だめだったけど「G戦場〜」は良かったな。
「ランダバウト」「にこたま 3巻」 渡辺ペコ 
 今一番売れて欲しい作家さん。少女漫画に長渕剛と格闘技を持ちこむこの感性が好き。
「カネが泣いている」「総理の椅子」 国友やすゆき
 エロを封印した「カネ〜」は今潰れまくっている消費者金融業者を描いた硬派な傑作。「総理〜」を読んだ後、民主党の前○とか大阪の橋○とかを総称して「白鳥」と呼ぶようにしている。
「ケッチン 9巻」 きらたかし 
 日常の細々とした描写を丁寧に拾い読ませるのが抜群に上手くいつまでも読んでいたいと思ってしまう。
シュトヘル 4巻」「皇国の守護者」 伊藤悠 流麗なアクションが超燃える。
「GANTZ 31巻〜32巻」 奥浩哉
 しょうじき敵の正体がわかる前の方が緊張感あったけど、現在の展開からも目が離せない。少し寝かせてまとめて読みたい。
ヒストリエ」「寄生獣」「七夕の国」 岩明均
 連載から読んでいる人が気の毒になるほど壮大な物語の「ヒストリエ」。ちゃんと読んでなかった前作も姿勢を正して読み直したよ。
LIAR GAME」 甲斐谷忍
 「人を無条件に信じるというのは思考停止である、疑え」という秋山の言葉にはハッとさせられた。そうだよね。
「コラソン」「明日のない空」「イカロスの山」 塀内夏子
 今年読んだ作品の中で最も男のロマンを感じた「イカロス」。「明日〜」の続きが気になる。
「食キング」「極道めし」 土山しげる 
 正直最近作品のリアル路線に食傷気味だった頃に読んで衝撃を受けた「食キング」。これだよ。今のマンガに足りない嘘は。正しい仕事の姿勢というものを改めて考えさせられる。
「アイアムヒーロー 6〜7巻」「ボーイズ・オン・ザ・ラン」「ルサンチマン」 花澤健吾
 今年一気に読んだ花澤作品。「宮本から君へ」の二番煎じだと思って敬遠してた「ボーイズ〜」だったけど、映画観てまた読もうと思った。面白かった!!
おやすみプンプン 9巻」「うみべの女の子」 浅野いにお 
 この前Twitterの背景論議でやり玉に挙げられてかわいそうだったけど、このフォーマットをパクれる根性ある人が果たして何人いるのか。再びマンガを読むきっかけになったのが浅野先生の「ソラニン」だった。感謝してます。
弱虫ペダル」 渡辺航 
 読んでいてこんなに燃えるスポーツマンガは久しぶりです。電車代惜しさに自転車を走らせてたすべてのチャリンカーに贈る作品。
「ベイビー・ステップ」 勝木光 
 テニスのゲームとしての奥深さを教えてくれた作品。わりとスポーツマンガで軽蔑されるデータ君を主役として突き詰めたのが面白い。
「大きく振りかぶって」「ヤサシイワタシ」 ひぐちアサ 
 「バッテリー」もそうだけど女性の方が野球を冷静に見てるよね。かつ、野郎どものキャッキャッ感も上手く描いてる。そして「ヤサシイ〜」を読んで仰天する。
大東京トイボックス」「東京トイボックス」 うめ 
 「魂は合ってる」はしばらく自分の中で流行ってた。ゲームをやってた人全てに贈る。
「バックステージ」 ナカタニD. 
 どんぶり勘定な演劇の世界に元金融業界の人間が裏方に回るというアイディアがナイス。
シグルイ」 山口貴由 
 残酷描写が苦手なタイプのマンガと敬遠してたけど、独特の超スローモーションで描かれる高速の殺陣に一気に引きこまれ全巻買ってしまった。ラストが超せつない。
「海街diary 帰れないふたり」 吉田秋生 
 登場人物と一緒に生きているような時間の流れが心地良い。待たされるのが苦にならない不思議な作品。
乙嫁語り「エマ」 森薫
 服や小物の綿密な刺繍に圧倒され現代とは全く違う価値観の世界に自然に入っていける。幼いカルククが男らしくなっていく姿と男勝りの年増嫁さんアミルが女に目覚めていく過程が素晴しすぎる。続きを待つ間「エマ」を読みます。
のりりん」 鬼頭莫宏
 この作家さんの線の細さが物足りなかったんだけど、自転車と自転車ルックをこれだけエロティックに描けるのもこの人の持ち味なんだろうな。
マイガール」 佐原ミズ 
 状況や設定は違うけど可愛いだけの「うさぎドロップ」よりも俺はこっちの方が優れてると思う。
よつばと!」 あずまきよひこ よつばの父ちゃんは何してる人なの?
「私がいてもいなくても」「いとしのニーナ」 いくえみ稜
 住む世界が違いすぎて登場人物にまるで感情移入できる要素がない作家さんなんだけど、今年友達の会社でバイトした時の気持ちまんま「私が〜」で描かれていて共感した。
「娚[おとこ]の一生」「姉の結婚」「ちはるさん」 西炯子
 今読むと「娚の一生」のラストはタイムリーすぎる。西先生の主人公はどうしていつもこんなに後ろ向きなの?
「JIN−仁−」 村上もとか 言わずと知れたヒット作。いつか「龍」も読もう。
「キングダム」 原泰久
 人の死に数のスケール大きさがこの国のスケールを物語る。これも少し寝かせます。
青い花」「放浪息子」 志村貴子
 日本で数少ないジェンダーをネタに書き続ける作家さん。貴重です。
「清々と」「おひとり様物語」 谷川史子 ストレートな志村貴子という印象。
鉄風」 太田モアレ 
 「廻」ほど展開が早くないのでやきもきさせられるんだけど、これはこれで総合格闘技の面白さを読ませる。主人公よりも片桐はいり似の先輩がカッコイイ。
「このSを、見よ」「さくらんぼシンドローム」 北崎拓
 エロマンガではないメジャー誌でこれだけストレートに性について描ける作家さんはいない。
青空エール」 河原和音
 自信がない人が自信を持つのは並大抵の過程じゃないんだね。
「裁判長!ぼくの弟懲役4年でどうすか」 松橋犬輔
 ノンフィクションなのが凄い。こんな人いっぱいいるんだろうな。気が滅入る。
「彼女を守る51の方法」 古谷兎丸
 震災後に読んだ大地震シュミレーション作品。ラストの強引さが若干気になるけど魂は合ってる!
もやしもん」「純潔のマリア」 石川雅之
 「もやしもん」はもっとスケールの大きな話に展開して行ってほしいんだけど…。
君に届け」 椎名軽穂 この人たち部活してるの?あ、恋部か。
「ケッコーケンコウ家族」 栗原まもる 
 「君に届け」みたいなキャラクターでこのネタをやるのが面白い。みんな酵母をとりましょう。
町でうわさの天狗の子」「雨無村役場産業課兼観光係」 岩本ナオ
 少女マンガで妖怪ネタって結構人気ジャンルなんだな。この作家の地方を見るスタンスがいい。
「ナッちゃん」 たなかじゅん 
 「とろける鉄工所」よりも技術的な面白さを見せる。どうしても下町のもつ焼き少女を思い出させる。
「営業の牧田です」 かわすみひろし 
 仕事に私情挟みすぎ女にフラフラし過ぎだけどビール業界と小売店とのやり取りがなかなかリアルで面白かった。
「雑草女」 朝基まさし 
 人間として扱われないADのお姉さんが架空の読者からの悩み相談に応じる風のギャグエッセイ。内容はほぼ竹原慎二のボコボコ相談室の「全部お前が悪い」と同じくらい身も蓋もなく「そんなの悩みのうちに入りません」が答え。そんな生活してればそうだよね。
「アゲイン」「モテキ 4.5巻」久保ミツロウ 
 最近流行りのやり直し系マンガの「アゲイン」。この人応援好きだよね。そう言えば梅図かずおの同名の作品があったよね。
「みかこさん」 今日マチ子
 なんてことない日常生活を描いた作品なんだけど一話一話の締め方がまるで俳句のような渋さ。ついつい読んでしまう。ネットで全部読めます。
「ニコイチ」「ライアー×ライアー」金田蓮十郎
 キャラクターの可愛いらしさと設定のハードルの高さがハンパないのとそれが解決する展開がいつも読めない。
いとしのムーコ」 みずしな孝之 
 飼い主とペットの意思の疎通のズレが妙にリアルだったりする。それが何かの問題になるわけでもなんでもないんだけど。
「係長 島耕作」 弘兼憲史 
 偉い人は思いつきで物を言うのをやめて欲しいね、今のクリスマスツリー編。
山賊ダイアリー」 岡本健太郎
 空気銃の奥の深さを知る。淡々と怖い描写も。もうすぐ1巻発売!
喧嘩商売」 木多康昭
 真面目部分と不真面目部分が両方面白いのは珍しい。
「バンビーノ 7〜9巻」 せきてつじ 
 外食産業の酷さをよく描いているけど、現実の酷さがそれをさらに追いぬいている感がある。
へうげもの13巻」 山田芳裕
 アニメはどこまでやるんだろう。利休編までかな。石田三成に共感しまくりなんだが。
僕の小規模な失敗」&「生活」福満しげゆき 
 「失敗」は青春マンガの傑作。「生活」の赤ちゃんがキモ可愛い。
鈴木先生 11巻」 武富健治
 終わってしまった。この作品から教わったことは本当に多い。「もしドラ」とか読んでる場合じゃないよ。
きのう何食べた? 5巻」 よしながふみ 
 来年の正月のシロさん実家帰省話が楽しみ過ぎる。
3月のライオン 6巻」 羽海野チカ 言うことは特にない。
さすらいアフロ田中」 のりつけ雅春 「やりましょう」
ネイチャージモン」 刃森尊
 この人のマンガをこんなに読めたの初めてだよ!原作があるからなんだろうけど。
海獣の子供」 五十嵐大介
 まだ結末読んでない。書くの疲れてきた。絵が凄い。(そんな投げやりな)
「珈琲時間」 豊田徹也
 大好きな珈琲をネタにしたオムニバスマンガ。新作「アンダーカレント」も読みたいけど高い。
刻刻」 堀尾省太 
 面白いのか面白くないのかすらよく分からないのだけれど読んでしまう。
テレプシコーラ」 山岸凉子
 これ読んでから「昴」が読めなくなった。
バチバチ」 佐藤タカヒロ 
 現実世界の方が作品の足を引っ張ってる気がする。

 来年はマンガは少し抑えめにします。やんなきゃいけないこともあるので。今年も面白いマンガをありがとうございました。あと長々と読んでくれた人も。