続・2012年をゆっくりふりかえる。


フォーラム仙台で「高地戦」観ました。本当は「声をかくす人」も続けて観る予定だったんだけど、最近歳のせいか一本面白い映画観るとそれでお腹いっぱいになっちゃうんだよね。昔はどんなに重い映画をハシゴしても平気だったのに。

「高地戦」を観て思い出したのは岡本喜八監督の「血と砂」。この映画がなくても佐藤允さんが亡くなられらこともあって最近わりと喜八作品に思いを寄せていることがあったのだけれど、世の中的にも近頃なぜかチャールストンな感じだし、この日の午後にBSプレミアムで市川崑の「プーサン」がやっててこれがまた朝鮮戦争特需で世の中がどんどんおかしくなっていくなかに組み込まれていく男の話だったりで、様々な思いに耽りながら夜の下道をダラダラと流してました。朝鮮戦争の停戦の裏にはこんな事実があったなんてね。予備知識をまったく入れてなかったので本当に驚きました。いやーひどい話もあったもんだ。あとで予告編観たけど、このネタバレは確かにひどいね。それこそ「独立愚連隊、西へ」的なラストも一瞬期待したんだけど、そんなわきゃないよね。


先日の休みに109シネマズ富谷で「東京家族」「ルーパー」「96時間 リベンジ」「テッド」を無理やりハシゴしてきました。片道70キロぐらいあるのでこのくらい観ないともったいないんだけど、映画に1日使うのも最近何となくもったいない。サービスデーということもあり「東京家族」はお年寄りでほぼ満席だったけど、「テッド」にまで人が入ってて驚いた。って、「テッド」大ヒットしてるのね。カワイイ映画と勘違いしたのか若いカップルばっかで笑いにくくてしょうがない。R15予告でやってたレジの女の子を引かせる下ネタはもう1段階上を行ってたね。宇多田ヒカルの感想を聞いてみたい。なんとなく。

というわけで、前回に引き続き去年の映画を振返ります。
メリダとおそろしの森
勝手にピクサー版「もののけ姫」+「ローマの休日」みたいな話だと思ってたら、むしろ母親が主役で驚いた。王を含めて野郎どもが争いの事しか考えてなくて、この王女が裏で国を仕切ってるということが序盤ではっきり描かれているので観ているこちらも「メリダ、ちゃんとお母さんの聞かなきゃダメだよ」という気持ちになっているので、メリダの葛藤云々よりも王女があの王国からいなくなるサスペンスの方にハラハラさせられた。というか、こういう話なら「塔の上のラプンツェル」の方が上手く描いてなかったかな。
アーティスト
この映画でサイレンス映画を初めて観て昔のサイレンス映画に手を伸ばした人っているのかな。そういうところにまで若い観客を持ってくぐらいの実験ではなかったと思う。いい映画だと思うけど、この映画を観て無声映画が懐かしいって人はもうあんまりいないと思うんだよね。個人的なファンタジーとして、映画業界にはジョン・グッドマンが最低一人はいて欲しい。
るろうに剣心
原作を読んでなかったので「るろうに剣心」の映画化というよりも「無限の住人」の映画化を観ているようで燃えた。アクション監督の谷垣さんは長年ドニー・イェンと仕事してた人だそうで、今まで見たことあるようでない殺陣が斬新だった。ボーン三部作のようなアクションシリーズにしてもらいたい。
おとなのけんか
子供の喧嘩を親同士がきれいに収めようとしたら大人の喧嘩はもっと酷かったというお話。始めは親対親だったのが、夫対妻、男対女、女対女、男対男、大企業対個人事業主、インテリ対…などと対立構造が79分の短い間に目まぐるしく入れ替わる構成が素晴らしく唸らされた。絶対とばっちりを受けない立場で他人の争いを覗き見るのがこんなに楽しいとは!ロマン・ポランスキー監督の「死と処女(おとめ)」を思い出しました。
幸せへのキセキ
しかし、このタイトルは何とかならなかったのだろうか。奇跡と軌跡をかけての事なんだろうけど、この表記だと♪あした、きょうよりも好きになれる〜的な映画なのかと思わせられるよね。でもね、劇中使われることがあるわけないこの歌を予告編のBGMに乗せてみても何ら違和感を感じさせないような包容力がキャメロン・クロウの映画にはある。それがキセキだよね。
アベンジャーズ
この映画が今一つノレなかったのはアベンジャーズのメンバーの映画は「アイアンマン」しか観てなかったのもあるし、どうもエンドロールの後に打ち上げシーンがあったらしい。映画終了直後に次の敵がチラッとエンドロールに割り込む形で入ってたのと、CGが多用された映画のエンドロールは無駄に長いだけという経験を踏まえて途中で劇場から出ちゃったんですよ。いや〜失敗したな。それで映画の評価が変わるのもどうかと思うが。個人的にはお祭りとしては「バトルシップ」の方が楽しかった。
プロメテウス
あの「あわわ〜あわわ〜」の予告編が素晴らしすぎてね。今見ても面白そうだもんこの映画の予告編。映画自体も「エイリアン」と関係なければ面白い映画だったと思うんですけどね。「エイリアン」の続編らを手掛けた監督たちの地獄のプレッシャーを思うと生みの親がオリジナルをぶち壊してどうするとはちょっと思ったっス。たまに「スペース・バンパイヤ」とか見直すんだけど、今の技術から考えるとちゃちいところはいくらでもあるんだけど、それでもあの頃のSFには観ていてワクワクさせられるものが何かあるんですよ(おっぱい以外にも)。「アバタ―」観る限りジェームズ・キャメロンにはそういうものが枯れてないのがわかるんですけど、リドリー・スコットにはもうないような気がします。弟さんも亡くなっちゃったしね。ブレード・ランナーの続編やるんだそうですが、やめた方がいいと思います。
SR サイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者
前2作観てなかったけど見直してる暇がなくて劇場でかかってるうちにと思い観ました。序盤のラップバトルでマイティー君のラップがしょうもなかったらどうしようと思ってたらこれがまた素晴らしいクオリティでね。しかもそのあとすぐに堅気じゃいられなくなる一線をやすやすと越えちゃうしね。なにこの堂々たるメジャー感。あとあのヤンキーたちの前でやらせられるオーディションでのDJネムリネコのカッコよさハンパない。こういう映画が大ヒットしてほしい。
最強のふたり
今年のベスト・オープニングではないか。アクション映画顔負けのカーチェイスとフランス映画らしからぬ鮮やかなオープニング。大富豪を演じたフランソワ・クリュゼさんの笑顔が素敵すぎる。ダスティン・ホフマンがフランス語喋ってるのかと思った。これフィクションだったらありえない着地なんだけども、こういう映画になってないだけのありえない関係みたいなものを各々が作っていけば世の中は本当に変わるのだと思う。

今日も終わらなかった。ほんとゆっくりしすぎだろ。