「ALWAYS 三丁目の夕日'64」を観る。

最近、農耕用大型特殊の免許を取りに行ったりしてました。あと、会社がJGAPやるというのでその研修などに行ったりもしてましたが、メインで作業に取り組むのは自分なのであまりの手続きの膨大さに何から手をつけてよいのやら。

ドラマは宮部みゆき原作の「ステップファーザー・ステップ」を途切れずに観てたりします。原作は昔読んでるんですが主人公が泥棒くらいの記憶しかなくて、「今夜は眠れない」などの宮部みゆきの中ではホームミステリーものにジャンルされるものの一つですね。これは「ヴェロニカ・マーズ」だなと。「ヴェロニカ・マーズ」は探偵業の父親を助ける女子高生ヴェロニカが学校の生徒たちの抱えるトラブルも解決していくという探偵ドラマで、主人公の家族がバラバラになるきっかけになる親友の殺人事件がシリーズの根底にあるものの、”自分の本当の父親を探してほしい”とかクレジットカード詐欺、犬の失踪、など本人にしてみれば大変なことだけど社会的な目でみれば小さな事件を解決していく内に大人社会に振り回される子供たちの悲惨な状況や格差社会や人種差別などの問題が浮かび上がってくる優れた構造を持っていて、毎回死人が出てただ犯人が捕まるだけの日本のサスペンスドラマや子供探偵アニメに比べるとよほど考えさせられるドラマなんですが、宮部みゆきの小説も犯人探しの型を持ちながら基本はそこにあるのであって「ステップ〜」もそういうドラマになるのだろうと期待して観ているんですが、内枠のホームコメディ部分は時々グッと来るところもあるのですが、外枠のミステリーの部分が圧倒的に弱くてもったいない。小西真奈美目当てに見続ける予定ですが、上川隆也伊東四朗って「平清盛」の鱸丸と白河法皇じゃねえか。どんなかぶり方だよ、それ。伊東四朗は日曜に「お前の母を殺したのは俺だ!」と子供に向かって大人げなく脅しをかけたかと思えば、月曜には「お前にはあの子たちが守っている物が分からないのか?」とか子供の味方になったり、どっちが本当のお前なんだ。
I thought I Knew you man, but I don't know you any more!

カーネーション」は相変わらず鉄板(「てっぱん」は全然鉄板じゃなかったけど)ですが、「平清盛」は観るたびにテンションが下がる。第一回はあんなに面白かったのに…。たぶんそれはあの回の主人公が中井貴一だったからなんだと気づく。彼が主演だった「武田信玄」の時にあのテンションだったらもっと面白かったのに(それでも時代考証とかも含めあの頃の方がドラマとして優れてたが)。主人公の成長がいちいち「え、そこからなの!」というぐらい設定が低くて、主人公が登場人物の中で一番人間が浅いというのが凄い。俺が大河を観るの止めた「信長」レベルなんじゃないだろうか。もはや流行りも廃れてきてる海賊モノとしても「ゴーカイジャー」(俺の兄貴が見てた)にすら先を越されてる感が否めない。以前今回の「平清盛」の関連番組として仲代達也が平清盛を演じた「新・平家物語」の総集編の一話を放映していましたが、その豪華キャストぶりに気絶しそうになりました。こっちが見たいよ!
映画版「新・平家物語」もデジタル・リマスターで観ましたが、雷蔵がカッコ良すぎて死にそうになりました。

日本には「パイレーツ・オブ・カリビアン」なんかよりもはるかに面白い海賊モノの名作「海賊八幡船」があるんだから、こっちを意識してほしいよね。殺陣も駄々のこね方も大川橋蔵の方が引き出しが多いよ。

あとMovix仙台で「ALWAYS 三丁目の夕日’64」を3Dで観ました。3Dの映画を観たのは「アバター」以来です。別に3D映画を敬遠していたわけじゃなくて、「ヒックとドラゴン」なんかは3Dで観なかったことを後悔してるくらいなんですが、「ALWAYS〜」の新作は3Dで観なくてはという思いはありました。ちょうど自分が過去の日本映画にはまっていた頃公開されたのが本作の第一作目であり、映画の中の昭和の風景しか知らない世代がイメージした昭和の東京には瑞々しい新しさと勢いがあったのがこの作品の魅力だったので、シリーズ初の3Dはどんな凄いことになっているのだろうと期待していました。が、映画は登場人物のなんてことはないドラマが中心なので3Dでなければならないシーンと言うのは数えるほどしかなく、3D版を作るのに費用がかかり過ぎたのか、今回は架空の東京ロケシーンが前2作の使い回しで済ませたんじゃないかと言うくらい少なくて、箱の豪華さゆえに観ることができたドラマが余計スケールダウンして見えました。3Dメガネの少し暗くなる視界がドラマ自体も暗く見せてしまったし、これなら2Dで観た方がまだ楽しめたかも知れない。
東京オリンピックがどのように描かれるのかと思えば、ただテレビ番組としてという扱いだったのも不満で、それこそ現在の東京の姿を形作ったのが東京オリンピックだったわけで、第2作目で映された日本橋の上に高速道路ができてしまったり、64年という時代はこのシリーズの魅力である東京の景観を損ねてしまった年でもあるわけで、その辺りを避けたのは分からなくもないけど、当然そういう建築物の変化なんかを3Dで見られると期待していたので肩すかしだったですね。それなら市川崑の「東京オリンピック」観かえせば良いだけだし、当時のエレキギターの話が観たければ大林宣彦の「青春デンデケデケデケ」観るよ。
鈴木家と茶川家に家族として迎えられた六子と淳之介のリアルタイムな成長を見るという意味では彼らの旅立ちのエピソードはそれなりにグッと来るものもあったし、泣きもしたんだけど、六子のような一生懸命生きる人が必ずしも報われた時代ではなかったはずだし、ひとつ男を間違っていれば純粋であるがゆえに落ちていく左幸子の「にっぽん昆虫記」みたいな展開になっててもおかしくないわけで。幸せをつかむ話ならもっと苦労が描かれていないとやっぱり絵空事なんだよね。菊地に無料で診察を受ける水商売や赤線の女だって菊地に惚れちゃったりするんじゃないの?菊地が本当は悪い男でも面白かったと思うし。これからドラマ中心で描いていくなら、東宝映画の森谷司郎と井出俊郎コンビの内藤洋子映画のクオリティがないときついっすね。だって、「三丁目の夕日'69」も作るんでしょ。飛び出る機動隊とゲバ棒!そういうのなら観たいね。