年末のこと。

週末兄の家へ行き、大口駅の近くの焼き鳥屋でささやかな忘年会。個人的には焼き鳥というのは食べやすくて面白くない。焼きとんのシロやてっぽうを噛みながら日本酒かホッピーを飲み、串だけで酒を2杯飲むか、もつ煮込み等の小鉢系をふやして酒を減らすか、いかにトータル二千円内に収めるかというのが、一人飲み会の命題だ。なぜ二千円なのかというと、毎週最低1回分としてつい足が出てしまっても月に一万円以下で収まるからだ。池袋ジュンク堂のわき道沿いにある「みつぼ」だと二千円でも結構食べられる。この感覚は車通勤の兄にはないらしく、最近のノンアルコールが意外に美味いこともあってあまり飲まなくなってしまったらしい。

兄の家の40インチの液晶TVで映画「恋はデジャ・ブ」を観る。昔観た時は毎日同じ日を繰り返して色んなことが身についていいなぁなんてのん気なことを感じたものだったが、これが本当に自分の身に起きたら地獄だよな。ビル・マーレーの演技が素晴らしかった。途中本当に追い詰められている人間の目になっているし、ラストでは冒頭とは全くの別の人間になってる。いや、凄い。好きな同僚のことをどんなに細かく研究してオトそうと努力しても、必ず自己中なところを見抜かれてふられるのだが、自分を捨てて他人のために尽くしていたら他の人が彼女に自分のことを薦めてくれるのだ。毎日曜日感覚がなくて気がついたら週末なのでこちらも毎日同じ日の繰り返しだけど、今日は昨日とは何か違うことができたのか、あの人とはウマが合わなかったけど本当はもっと違う付き合い方ができたんじゃないか、そんなこといろいろと考えさせられた。映画のようにあの日は帰ってこないんだけど。

その後、ららぽーと鴨居のシネコンで「キック・アス」を観る。予告編のド素人の少年がチンピラ相手に立ち回るシーンは生々しい迫力があって面白い映画になるだろうという予感があったが期待以上の出来だった。11歳の少女が人間を切り刻むなど際どい描写にかなりダメな人もいるだろうが、ここまでやらないとこの設定が生きない。昨今のヤクザのシノギがネットに進出していないわけがないので、本気で彼らが「キック・アス」を探そうと思ったらできただろう。「キックアス」とのコンタクトをせがれまかせというのはなんかぬるい気がした。でもね、どちらかと言うとギャング側のおっさんたちの年齢に近い身としては、いい大人が子供にいいようにやられている姿を観るのはあまり気持ちいいものではない。ジェイソン・フレミングがあんまりな登場と退場の仕方だったのでせつなくなったが、監督は「レイヤー・ケーキ」の人だったのね。ニコラス・ケイジは思ったよりも抑えめな演技で、ビッグ・ダディの衣装を着るとバットマンも意外といけるかなと思った。