最近、田舎に引っ越したこと。

 9月末に横浜から母の実家がある宮城県栗原市に引っ越す。関東周辺で東北にいるより若干高い給料をもらいながら遠くにいる親の心配をするよりも、親の様子をすぐに見に行ける距離に住みながら安月給で働く方が自分にとって気が楽なのだと3月の地震のあと気づかされた。それがいい判断なのかはわからない。

 たまたま面接を受けた地元企業は仙台の実家より今は誰も住んでいない祖父母の家の近くだった。職場見学のために訪れたあたり一面ビッシリと稲におおわれた真夏の栗原市の風景があまりに良すぎたせいなのか、「ここに住みたい!」と思ってしまった。それが刈り取られた今の風景を見てもあまり後悔は感じてないが、ちょっと寂しい気はする。

 自分が住んでいる地域は、昼間は遠くまで見渡せる土地に田んぼが一面に広がるまるでポン・ジュノの「殺人の追憶」を髣髴とさせる風景だが、夜はあたり一面まっ暗になり、車を走らせるとデビット・リンチの「ロスト・ハイウェイ」感が半端ない。しかも困ったことにマット・リーヴス監督の「モールス」(踏切のシーンね)を観てしまうと、よる車に乗り込む前に後部座席をチェックする癖がついてしまった。祖母の家は一人で住むにはあまりに大きく、その日本家屋の独特の造形に「呪怨」系の映画はいま絶対に観れない(怖すぎてリンクも貼れない)。職場に向かう途中に越える山道は「ツイン・ピークス」の世界観を理屈じゃなく感覚的に理解させてくれる(あの揺れる懐中電灯の光で照らされる木々の感じ)。



 最寄りの映画館はここから35キロ離れた古川のシネマ・リオーネ古川。先日「猿の惑星:創世記」と「一命」を観てきたが、地方特有のメンズデーにも関わらずあまり人が入っておらず、ここがつぶれたら仙台に行かなきゃ映画観られないと思うとゾッとした。自分が学生の頃はこんなにいい映画館なんてなかったけど、若者はどこへ行ったんだ?あまりに綺麗で大きなスクリーンが逆に寂しさを醸し出す。


 本屋は10キロ離れた築館にあるTutayaが一番近い。Amazonがあれば買えない本はないが、今ある流通経路を優先して使うべきだと思った。別に取り寄せに時間がかかってもいいし。収入の当てができたので控えていた新刊マンガを3冊購入。花沢健吾先生の「アイアムヒーロー」7巻、佐原ミズ先生の「鉄楽レトラ」1巻、石川雅之先生の「純潔のマリア」2巻。「アイアム〜」は連載で読んでいるけどやっぱり買ってじっくり読んだ方が細部までよくわかる。「純潔のマリア」は1巻が発売されてからあまりに時間が立ち過ぎて設定が思い出せず、話がさっぱり頭に入っていかない。1巻を読もうと思っても引っ越し荷物の段ボールのどこに入っているか分からない。困った…。

 こちらに来てからテレビをよく観るようになった。祖父母のために用意された立派なプラズマTVがあるので、自分の10年以上使ったブラウン管TVは横浜でリサイクルに出した。録画媒体がなかったので、それは自分で買った。初出社がちょうど「おひさま」の最終回だったのでそのために買ったようなものだったが、次の「カーネーション」も良かったので買って良かったと思った。

 初めて泊った夜にBSでやっていた「愛と哀しみの果て」をつい見てしまう。ロンドンからアフリカに引っ越してきた女性が苦労する話だが妙に親近感を覚えてしまった(スマン)。昔観た時には大味な大河ロマンだと思っていたが、いま観ると登場人物の感情の隅まで丁寧に描かれていてる見事な演出だった。メリル・ストリープが若きから老いの姿まで演じきっていた。凄い。

 Twitterも前からアカウントは持っていたのだが、ここにきてちょこちょこつぶやかせてもらっている。変なこと書いてるかもしれないけど寂しい奴なんだと思って大目に見てくれるとイイナ。

アイアムアヒーロー 7 (ビッグコミックス)

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鉄楽レトラ 1 (ゲッサン少年サンデーコミックススペシャル)

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純潔のマリア(2) (アフタヌーンKC)

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