今年のクリスマスのこと。

24日には、大塚駅前のあおい書店でDVDを借り、コージーコーナーでケーキを買って帰る。一人クリスマスなので大きなクリスマスケーキは必要なくて好きなものを適当に選んだのだが、家族連れの人たちも結構バラバラのチョイスで選んでいた。レンタルなんて実に一年ぶりだった。久々に訪れた店内はガラッガラで本当にイブなのかと目を疑った。あんまり借りられてないクリスマス映画特集が寂しそうだったが「8月のクリスマス」はクリスマス映画じゃないと思うよ。(が、「乱気流」はない)。何にしようか迷ったあげく「タイタンの戦い」(1981年のほう)、「グレムリン」、「ベニィ・グッドマン物語」を借りる。

タイタンの戦い」はリメイク版もあったのだが、ひさびさにハリー・ハムリン(アーロン・エコールズ!)が観たかっただけなのでパス。ローレンス・オリビエやマギー・スミスが出ていて豪華キャストなのだが、衣装や美術がチープなのであまりゴージャスな感じがしない。昔観た時はもっと凄い映画だと思っていたのだが。(兄曰く、昔観たバージョンはテレビ用に90分とコンパクトにまとめられ、前半のペルセウスの生い立ちあたりはかなりすっ飛ばしていたらしい。テレビ放映用の方がオリジナルよりも面白いという例だ。)後半の怒涛の特撮シーンはかなり面白く、暗がりからゴーゴンが這いずる登場シーンでは映画を観て久々にゾクゾクさせられた。ゴーゴンも機械仕掛けのフクロウ、ブーボー(可愛い)も明らかに作りものとわかるのになぜこんなにリアルなのか。アンドロメダを演じたジュディ・バウカーが超可愛い。この作品は特撮のレイ・ハリーハウゼンの引退作で、特典では彼のインタビューがあったのが良かった。

グレムリン」はクリスマス映画コーナーで見つけたのだが、静かな田舎町のクリスマスをぶち壊すアンチ・クリスマスな内容だった。それこそハリーハウゼンを師と仰ぐジョー・ダンテ1984年の作品で「タイタンの戦い」からは3年しか違わないのだが、特撮の技術は格段に進化している。が、まだモグワイの下から表情を動かす装置をつながなくてはならないので、台の上に乗せるか足を隠すしかないのだが「グレムリン2」ではもっと技術が進んでモグワイは単独で動き回っている。映画はグレムリンが登場するまでと登場してからで映画がガラッと変わる。ビリーの母親が孵化したグレムリンと台所で繰り広げる死闘はまさにホラー演出の名場面だ。お母さん役の女優さんがすごく上手いので思わず手を握りしめて見てしまった。意地悪なディーグル夫人が階段の自動昇降機が暴走して外にふっ飛ばされるシーンでは思わず爆笑してしまった。だって面白いんだもん。本編を観た後に、ジョー・ダンテのコメンタリーが興味深くて思わずもう一回観てしまった。もともとクリス・コロンバスが書いた脚本はホラー色の方が強くてお母さんの生首がゴロンと転がるようなものだったらしい(あの対決シーンの緊迫感もうなずける)。映画会社は最後の最後までフィービー・ケイツが過去のクリスマスの悲劇を独白するシーンを削らせたがっていたらしい。昔観た時もあのシーンだけは妙に記憶に残っている。3つのルールでは「どんなに彼らが欲しがっても真夜中を過ぎたら餌をあげてはならない」というのが、ごねられるとすぐに餌を与えて機嫌をとってしまう自分も見習おうと思った。

ベニー・グッドマン物語」は「素晴らしい哉、人生」が借りられていたのでクラシック枠として「我が道を往く」と迷ったけれどこちらを選んだ。が、観始めてから本当は同じくジャズ映画の「5つの銅貨」が観たかったのだと気づいた。この映画も別に悪くはないんだけど。ベニー・グッドマンはなかなか成功できなくて大変ではあったけれど、グレン・ミラーのように悲劇的な死に方をしたわけではないので、ジャズの歴史を観る意味では興味深いけど話的にはあまり盛り上がらない。父親がタキシードを買うところでちょっとぐっと来たけれど。