SF映画ベスト10にさんかすふよ(モゴモゴ)


今年もワッシュさんのブログ「男の魂に火をつけろ!」で開催中の「SF映画ベスト10」に参加します。もっと早くアップする予定でしたが色々と過去に観たSF映画を見直したらギリギリになってしまいました。(「スペース・インベーダー」が超楽しかった)
今年のテーマはSF映画という事ですが、過去のSF映画からみればとっくに滅んでいてもおかしくない年にはなっているのにもかかわらず、その兆しはありながらも今一つピンと来ないという感じではないでしょうか。今回は自分がSFに興味を持った作品や今身近に感じる作品を選んでみました。

第10位 るーみっく・わーるど1 炎〈ファイアー〉トリッパー (1986) 監督 高橋資祐
学生の頃、夏休みの午前中によくテレビで放送してたOVAのSFアニメの一つとして観ましたが、劇場でも二本立てで公開されたようです。映画やアニメを観る以前に高橋留美子作品のことしか考えてなかった時期というのが確実にありまして、ここは押さえておきたい。48分という尺なので全編観れちゃいます。DVD出てないようなので、未見の方は消されないうちにぜひ。

犬夜叉」の原型にもなったタイムスリップものですが、自衛隊でもあれだけ苦労する(というかほぼ全滅する)戦国時代に女子高生が行くわけですから、そこから想像できることは大体起こる容赦ない展開や青春映画としてのお約束の甘酢描写も素晴らしいのですが、「七人の侍」を参考にしたと思しき設定や小気味よいアクション描写にくわえてたかだか48分ですからね、ループものとして繰り返し観る楽しみもあるタイトな作りも嬉しいし、多少強引な設定も鈴の使い方がとても効果的で上手く乗り切ってます。秋本薫の主題歌「予感」「タイム・パラドックス」も作品の内容に深みを与えていていいです。


2013年にもなってどんな未来になってるかと思えば、いまだにアイドルだ、秋元康だ、枕営業だ、って80年代かよ!・・・ハッ!
第9位 メガゾーン23 (1985) 監督 石黒昇

自然環境ばっかり過酷になってる感じでいつになったら「ブレードランナー」のようなダークでカッコいい未来がやってくるんだと思うわけですが、最近よく感じるのがこの作品の作られた1980年代感なんですよ。一昔前だったら大騒ぎになっているような大変なことが世の中に平然と怒っているのにもかかわらず何の反応もない社会、「風立ちぬ」は首をかしげられて「永遠の0」は大ヒットしそうな空気感。「マトリックス」に影響を与えた世界観もさることながら、一作でやめときゃ良かったのにというところまで似なくても良かったのにね。ナカソネさんとアベくんの共演もたのしく、挿入歌の「Tomorrow Blues」「♪今がそのときかも」 って歌詞も今年の流行語っぽくていい。


第8位 アップルシード 〈OVA〉 (1988) 監督 片山一良

ガイナックス制作のOVA版。士郎正宗原作のアニメ化では「ブラックマジック M-66」も捨てがたいですが、思い入れの深いこちらを。物語を単純にしすぎていると原作ファンにあまり評判が良くないらしいのですが、舞台のオリンポスが原作だといかにも未来都市という景観なのに対して、全体像は未来都市ながら近くから見たの建物自体は1980年代のアニメに登場しそうなアメリカの都会風ですべての建物の屋上に太陽光発電パネルが取り付けられているみたいなさりげない未来アピールにとどめ、原作冒頭の廃墟から救出もあえてカットして生活感を強調しつつ、そこに突如現れるロボット警察や未来兵器が出てくる違和感の出し方とか上手い。
感情が複雑な人間だけだと色々と問題が起こるので、完全に感情がバランスよくコントロールされたクローン人間を人口の8対2ぐらいの割合にしたら上手く行くんじゃね?的な発想から作られた理想郷(ユートピア)の話なので、SFのダークな世界観とは違う突き抜けるような青空のSFという点も好きです。あと「GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊」のシリアスな雰囲気も好きなんですが、原作本来のデュナンとブリアレオスの夫婦漫才感があるのがいい。


第7位 グランド・ツアー (1991) デヴィッド・トゥーヒー 

環境問題とエイリアンの侵略ものをかけた「アライバル−侵略者−」、犯罪者を主役に据えたサバイバルSF「ピッチ・ブラック」、潜水艦を舞台にした怪奇譚「ビロウ」など低予算でアイディア勝負なSFを作るデヴィッド・トゥーヒーの作品を何か入れたかったのですが、今だと過去の大災害を目撃するために未来からやってくる観光客の存在を知った男が自分の娘に起こる運命を知り、過去を変えるために奔走する「グランド・ツアー」を推したい。東日本大震災を経た後でこの映画を思い出すと何とも言えない気持ちになる。現在ビデオでしか観られない作品なのでDVD化してもらいたい作品。彼が脚本だけ手がけた「ウォーター・ワールド」もUSJの人気アトラクションとしてだけじゃなく作品としても観られて欲しい。


第6位 GANTZ (2010) 佐藤信

なんでこんな感じの映画にならなかったかなぁ…。まぎらわしいですがエントリーは映画の方です。映画自体は二宮君の玄野も吉高由里子の多恵ちゃんも悪くなかったし、前編の1stミッションはかなり期待させるものがあったのですが、2ndミッションの田中星人はあそこまでガンバってなんでボスキャラ出さないかなぁぁ…と俺も思ったし、実写化を試みようとしていたというギジェルモ・デル・トロも思ったに違いない。

映画もあんな感じだったし、原作も今年完結したという事で「GANTZ」も映画の話題として出ることもあまりないかなと思ったゆえのエントリーでした。「パシフィック・リム」の翼獣のシークエンスに限らず、「第9地区」の武器や「エリジウム」のパワースーツ、「MIB3」の円型バイク、「クロニクル」のレゴを使った超能力訓練シーンなど簡単に思い出せるところで「GANTZ」の影響を感じるハリウッド映画はかなりあるので、本家の映画化でそれらが上手く映像化できなかったのはもったいなかったですね。あんな風に無理やり2部作で閉じずに、1作1作を丁寧に作ってヒットさせながら、嵐人気もあるんだから寅さんみたいな1年に1作の二宮君のヒットシリーズとして息の長いコンテンツにするぐらいのプロデューサーがいなかったのか。まぁ、完全な映像化は無理としても、せめてアンジェリーナ・ジョリーは出してほしかったなぁ(それが一番無理や)

第5位 ジョン・カーター (2012) アンドリュー・スタントン

チキン・ブリトーで地球を救ったアイツが今度は火星も救う!
今回のスペース・オペラ枠。「スター・ウォーズ」も好きなんですが、あえてその原点ともなったという「火星のプリンセス」をどう頑張ってもどこかで観たことあるストーリーにしかならないことを承知であえて映像化し、決して見たことのない映像を作りだしたアンドリュー・スタントンを称えたい。よほど原作好きなんでしょうね。主演は我らのテイラー・キッチュ。本当のスターは裸に布きれをまとっただけで絵になるかどうかによると思いますが奴は葉っぱだけでもいけそうだ。しかもこの映画はひさびさのペット映画の傑作でもあるんですよね。ウーラ超可愛いっスよ。

愛しのウーラ


第4位 エイリアン2 (1986) ジェーム・キャメロン

上は本作の重要登場人物の一人「check it out. I am the ultimate badass!」でおなじみのハドソン二等兵の出演シーンのみで編集されたものですが、これをご覧になると映画の登場人物の性格やその関係性、状況、兵器や施設の解説をここまで楽しく観客に聴かせてしまうビル・パクストンの作りだしたキャラクターが素晴らしいかお分かり頂けると思う。彼は兵器や装備を熟知し情報処理も得意であるがゆえに状況を把握してすぐに絶望を口にしますが、リプリーは彼の出した情報をもとに別のアイディアを出して状況を乗り切っていきます。観客と同じ目線であり、映画の中で一番成長しているのは彼かもしれない。彼の退場シーンは泣けるのになぜか可笑しくもある。俺はハドソンに会いたくてこの映画を何度も観てしまうんだろうなー。

第3位 ソイレント・グリーン (1973) リチャード・フライシャー
食を扱ったドキュメンタリーなどを観ると食肉、野菜工場、遺伝子組換え、外来種など下手なSFよりもよっぽど現代の方が進んでいる感もありますが、食を扱ったSFってないかなと思った時にまず思いつくのが本作。久しぶりに見直して観ましたが昔観たときよりもずっと心に残るものがありました。
人口爆発と環境破壊でまともな作物がとれなくなって、着色料のキツイ「カロリーメイト」を1000倍くらいまずくしたような固形食が配給される未来の話で、食品会社の社長が殺される事件を担当してる刑事のソーンを演じるチャールトン・ヘストンが事件現場の冷蔵庫から平然とくすねてきた食料を同居する「本」(生きるインターネットみたいな存在か)と呼ばれる老人ソルと食事するシーン。

シナリオになかったシーンらしいですが、ほぼチャールトン・ヘストンエドワード・G・ロビンソンのアドリブで作られたこのセリフのほとんどないシーンでのレタスを食べるシークエンスは、当時50歳のヘストンですがこんなおっさんになるまで野菜を食べたことがないソーンがその苦さに顔をしかめ、過去に野菜を食べたことがあるソルがその苦さを心から味わっているという食べる喜びに満ちているこのシーンを観ていて何か涙が止まらなくなりました。捜査をすすめるうちにどんどん五感を取り戻し事件にのめりこんでいくソーンがついに目にしたかつての地球の姿を見るシーンにはラストの衝撃の事実よりも打ちのめされた。

第2位 ドリーム・キャッチャー (2003) ローレンス・カスダン

公開当時この映画を観て表現のしようのない怖さを感じたのだけれど、今回見直してみてその正体がすごくわかった。体力、精力、記憶力の減退、後退する生え際、口臭や一秒でも早く消えてほしいトイレの臭い、心が読めることから来る女性不信というか女怖い感、若いときに中年に対して抱くイメージがある存在を通して具現化して襲ってくる恐怖だったのだ。そして今回さらにそれを実感する恐怖と共感。中年の中年による中年のためのSF映画の傑作。若いときに観てこの映画をバカにしてたような人は30〜40代になってから見直してみるといい。結構来ますぜ。


第1位 デモリション・マン (1993) マルコ・ブランビヤ

どんな映画かは淀川先生に解説して頂くとして、公開当時面白かったですがそんなに傑作!という作品とも思えず、むしろ「ジャングル・フィーバー」や「ニュージャック・シティ」のスマートなエリート黒人みたいなイメージを持ってたウェズリー・スナイプスが「パッセンジャー57」や本作の路線(むしろこっちが素だったわけですが)に軽い衝撃を受けたのを覚えてます。
国が国として機能せず企業が支配する未来。企業淘汰が完了し競争に勝ち残った各業界の会社の製品なりサービスだけが存在する世界。クレーム処理と自主規制と業務改善を行きつくとこまで行きつくしたら何をしてもダメになってしまった世界を我らがスタローンとウェズリーがとことん破壊しつくす!
支配者はどうみてもブラック企業の社長で、ちょっと面白かったのは彼が野望とかで世の中を支配しているというよりは、本人的には世界をよりよくしているつもりでやっているようなところが感じられるところですね。「俺の言うことを実行だけしてればみんなハッピーなのに、なんであいつらおれのいう事きかねぇんだ…ブツブツ」みたいな感じレジスタンスに文句たれてる姿が笑える。しかもスタローンをおびき寄せるおとりに何十人という市民を平気で爆死させるようなヤツを、自分が命令すれば誰でも何十時間でも平気でサービス残業をするような社員と同じようにしか思ってないので簡単に裏をかかれて殺されるマヌケさも何かリアリティある。
外食産業で生き残る会社がマクドナルドではなく、メキシコ料理のチェーン店「タコベル」なのは公開当時タイアップしてたからですね。

ホント世の中こんな世界に向かってるような気がするので、そろそろ科学者の方々は人間を冷凍保存する方法を開発してくれないとスタローンもウェズリーも結構いい歳になってますからね。彼らが体が動く間にぜひよろしくお願いしますね。(お前が一番鬼や)

この映画の名シーンとして、サンドラ・ブロックがスタローンをセックスに誘った時の彼のリアクションがこれ。

みんなその時自分がクールな顔を決めてると思ってるかもしれませんが、たぶん大体こんな感じです。気をつけましょう。

ホントギリギリになって申し訳ありません。集計よろしくお願いいたします。

ワッシュさんの「アウトサイダー」の記事によると、
おっぱい映画ベスト10はこの先開催されないようなので、この機会に自分のベストも書いておきます。

スペース・バンパイア(マチルダ・メイ
風の谷のナウシカ
クロコダイル・ダンディー(リンダ・コズラウスキー)
ホット・スポットジェニファー・コネリーヴァージニア・マドセン
恋愛小説家(ヘレン・ハント
ザ・エージェント(レニー・ゼルヴィガー)
バウンド(ジェニファー・ティリー&ジーナ・ガーション
ルイーズに訪れた恋は…(ローラ・リニー
X-MEN:ファースト・ジェネレーション(ジェニファー・ローレンス
復讐するは我にあり倍賞美津子