個人的に「ER」ブーム再来。


去年からWOWOWの18時からやってるERの無料放送を観ているのだけれど、本日の第五シーズンの14話がちょうど自分が昔観たことある最後のエピソードで来週からはようやく新エピソードを観られる。90年代後半、NHKで放送が始まったファーストシーズンを何が凄いのかよく分からないままダラダラと観ていてシーズンの終わりごろでようやくハマり始め、ちょうど今の5thシーズンぐらいまでは新作がレンタル開始される日を待ち構えるくらい中毒になっていました。

噂でこのシーズンでジョージ・クルーニー演じる人気キャラクターのロス先生が番組を降りることは知っていたのですが、それが決定的になるのが本日の14話でロス先生が副腎白質ジストロフィーの子供の安楽死に手を貸し、元夫からHIVに感染したER史上1、2を争う優しいハートの持ち主であるジニーもエピソードの最後で事故で重傷を負い肝炎を引き起こすと聞いて「もう観ちゃおれん!」と観るのを断念しました。その後、ルーシーも統合失調症の患者に殺されると聞いて、こういう日常を描くドラマで主要登場人物がわかりやすく死に始めたら番組も終わりだなとこの番組を見限っていましたが、まさかその後15シーズンまで続くとは思ってませんでした。中だるみはあるんだろうけども。

大学生の頃はシカゴ総合病院のシステムや医師の制度などもよく理解しておらず、登場人物たちの関係性の面白さだけで観てたところありましたが、この年になってみると登場人物たちが自分と同い年か年下になっており、彼らの抱える問題に共感できることが良くも悪くもありました。みんな同じこと言われてるんだね。大人の女性だと思っていたスーザン先生がもう年下だもんな〜。可愛すぎる。彼女もまたこの先のシーズンで復活するらしいし、今回見直していて嫌な奴だけどもどうしても嫌いになれないロマノ先生も壮絶な死を遂げることもわかっているけれども、そこへの至る過程も楽しんでみていきたい。しかし、ロマノ先生役のポール・マクレーンは「ロボコップ」でも凄まじい死に方してたけどね。そう言えば、昨年の「終の信託」で自殺未遂した草刈民代に気管チューブを挿管する看護婦の手際の悪さにイラッとしたのを思い出します。

「ニュースルーム」第1話を見る。

4/8からWOWOWで始まる海外ドラマの新作「ニュースルーム」の第1話を先行放送で観ました。冒頭、誰も批判しないことで全米で1、2を争う好感度を誇ってきたニュースキャスター、ウィル・マカヴォイが大学に招かれた討論会後の学生からの質疑応答でのやりとり。

女子学生 「皆さんに簡潔にお答え願いたいのですが、わかりますよね?
なぜアメリカは世界で一番偉大なんでしょうか?」

リベラル系の女性 「それは多様性と機会があるからです」

保守系の男性 「自由と・・・。自由があるからです。それをこれからも守っていきましょう」

ウィル 「NYジェッツがあるから」

教授  「真面目に答えるまでここから帰しませんよ」

ウィル 「世界一ではありませんよ、教授。それが答えです」

ウィル 「(保守系男性に)あんたは真顔で学生に言うのか?アメリカは偉大な国で自由を享受しているのは世界で我々だけだと。カナダにも自由はある。日本にも自由はある。イギリス、フランス、イタリア、ドイツ、スペイン、オーストラリア、ベルギーにも自由はある。自由は世界の主権国家207のうち180ヶ国にあるんだ。

それとそこのノー天気女子。君がまちがって投票所に迷い込んだ時のために知っておくべきことがいくつかある。一つはこの国が世界で1番だという根拠は何もないということ。読み書きは世界7位、数学は27位、科学は22位、平均寿命は47位、乳児死亡率は178位、平均世帯所得は3位、労働人口は4位、輸出は4位。1番なのは3つの分野だけ。全国民に占める投獄者数の割合、天使の存在を信じている大人の数、それと国防費。2位以下の26ヶ国の合計よりも多く、うち25ヶ国は同盟国。

これは君みたいな二十代の学生のせいではない。にもかかわらず、君はまちがいなくこれまでで最悪な世代の一員だ。なのに、この国が世界で偉大な国だなんて。君は一体何の話をしている。大丈夫か?

・・・かつてはそうだった。正義のために戦い、法律の制定や廃止をモラルに基づいて行い、貧しい人とではなく貧困と戦った。己を犠牲にし、隣人を気にかけ、口先だけではなく行動し、常に理性的だった。巨大なものを作り上げ、飛躍的な技術の進歩をとげ、宇宙を探検し、病気を治して世界一の芸術と経済を育てた。より高みをめざし、人間味があり、知性を求めることは恥ずかしいことではなかった。選挙で誰に投票したかで自分を分類したりせず、たやすく動じなかった。

それができたのは我々が情報を与えられていたからだ。尊敬できる者たちによって。問題解決の第一歩は問題を認識すること。アメリカはもはや世界一の国ではない。

これで回答になったかな。」

上の統計を日本に当てはめると日本もそんなに捨てたもんじゃないななんて思ったのでつい載せてしまいました。橋田壽賀子もびっくりの超長台詞で開始3分でこれですからね。つかみは相当OKです。

ドラマ「ホワイト・ハウス」、Facebookの創設者マーク・ザッカーバーグを描いた映画「ソーシャル・ネットワーク」の脚本家アーロン・ソーキンの新作ドラマ。1話はメチャクチャ面白いです。これを観るためだけにWOWWOWに加入するべきか、ソフト化されるまで待つか。

http://www.wowow.co.jp/pg_info/detail/102269/index.php

新・2012年をゆっくりふりかえる。

自分が好きだった日本のアイドルは「ねらわれた学園」の原田知世が最初で最後だったと思う。

その後「風の谷のナウシカ」の衝撃的な登場で若干2次元をさまようが、実家がWOWOWに加入し映画が観られるようになり、「告発の行方」を観る。冒頭、酒場にギャル系の女の子が登場して踊り始める。なんだこの子、すげぇ可愛い!とほとんど一目惚れだったのだが、その後その女の子はエライ目に遭う。好きな女の子がいきなり不特定多数の男たちに弄ばれるのを見せられ、世の中なんて恐ろしいんだと心底ビビった記憶がある。その後、彼女は美しい髪をバッサリと切り落とし卑猥な言葉で侮辱した男の一人に車ごと突っ込む!いくら好きな女の子が出てる映画だとはいえ、その子が輪姦される映画を何回も観てたあの頃の自分もどうかと思うが。

その子のフィルモを追っかけると「ホテル・ニューハンプシャー」でもやっぱり輪姦されるは同性愛だわ近親相姦だわと(カラッと描いてはいるが)凄いことになってるし、「タクシードライバー」では子供なのに売春してるはで、当時思春期の俺の女に対するイメージはもうメチャクチャだったよ。最近、あるカミングアウトしたことで話題になってたけど、
「俺が二十歳の時に、彼女は33か。・・・いける!」と思ってた十五の俺と「羊たちの沈黙」のトマス・ハリス先生に言ってあげたい「彼女はレズだよ」と。
だけどね、そんな事で彼女に対するイメージが変わるということはない。そういう事実を踏まえれば彼女が「リトルマン・テイト」を撮った心境も理解できる。学がないシングル・マザーがインテリの女教師と反発しあいながら天才少年を育てる話で、天才子役として持てはやされ同年代の子供たちには見えないものが見えてしまう悲劇や女一人で子供を育てる不安などを正直に描いていた。たとえ男が恋愛対象として見れないのだとしても、映画を見る限り彼女の人間に対するまなざしは男女分け隔てなく優しかったし、そんな彼女を好きで俺は良かったと思っている。

人気がなかった頃に作られた何てことないお約束が人気が出ることでお金が絡んでくると当事者たちの首をグイグイと絞め始める。何かの自由を奪う事の怖さをまざまざと見たような気がする。最近は何か起こると何でもかんでも禁止ばっかりだけど、そのうち自分たちにも帰ってくるよ。これに懲りずに女も男もめげずに炎を飛び越えて行って欲しいね。

さて、去年の映画をまたふりかえってみましょうかね。
ロボット
(「ターミネーター」+「マトリックス」+「I,ロボット」+「トランスフォーマー」)÷4×「少林サッカー」=「ロボット」
という公式が成り立つのがインド。すごい。歌詞に「ワサービ」とか「アリガトウゴザイマス」とか日本語がチラホラ入ってるのも嬉しい。健さんも「あなたへ」みたいな映画じゃなくてこういう映画に出てもらいたかった。もう無理とは分かっているけれども。

おおかみこどもの雨と雪
自分が予約した回の上映時間を間違えて前の回のラスト30分頃に入場してしまい、ずいぶんクライマックス的なものを前に持ってくる映画だな〜など考えてるうちに例の息子のアオォーンがあって「おおかみこどもの雨と雪」というタイトルがバーンと出てきて、ずいぶんオープニングタイトルをひっぱったなと思ったらエンドテロップが流れてきて相当あせりました。でも、ラストの印象が良かったのでこれはかなりの傑作ではないかという予感はあったのだけれど、その期待に応える出来でした。
全編長女のナレーションが入るところ、父親の不在、子供の精神的自立と家族との訣別、成瀬巳喜男監督の傑作「おかあさん」を彷彿とさせるところがいつくもありました。「おおかみこども〜」に対してハナの描き方が男の理想でしかなくてあんな母親を要求されても困るんですけど的なコメント色々見ましたが、恐らく「おかあさん」の公開時にもウーマン・リブな方々からはそういう批判もあったんじゃないかと思います。田中絹代演じる母親はふりかかる不幸に耐えながらも常に笑顔をたたえながら黙々と仕事をこなしているから。ですが、ラストに娘が作文を棒読みしてる風のナレーション(母親についての作文を一般公募したところから映画の企画が始まっているため)が入ります。

「きょうもまたしずかなよるがふけてゆきます。
そして、あしたもすずめのこえでしあわせのあさがやってくるのです。
おかあさん、わたしのだいすきなおかあさん、
しあわせですか?わたしはそれがしんぱいです。
おかあさん、わたしのだいすきなおかあさん。
いつまでもいきてください」

そこへ預かっている親戚の子供とすもうしてわざと投げられた田中絹代が息をはらしながらほつれた髪をなおして笑顔なのかそういう顔なのか的な絶妙な表情のアップで映画が終わる。長女の母親を見つめる表情には母親に対するいたわり気持ちと結婚したら自分もそうしなければいけないのかというプレッシャーのようなものも交じっているようにも見えます。
途中クリーニング屋を手伝ってくれる夫の戦友でシベリア帰りの「捕虜のおじさん」(笑)とのあらぬ仲が巷で囁かれ、商売が軌道に乗り始めたところで捕虜のおじさんは出ていくのだけれど、彼の見送りにみんな出て行って一人残った田中絹代の表情が不安のような後悔のような顔をはじめて一瞬見せるんですね。女としての人生は犠牲にしているかもしれない。けれど、それでも子供を育てる。愛なのか意地なのか、それとも女の本能なのか。子供にはわからない親の気持ちをどう解釈するかは結局子供自身で決めるしかない。そういう描き方だったところに共感できました。病気の子供を病院に連れて行くか動物病院に連れて行くか迷うというところをギャグとして描いているシリアスとコミカルの絶妙のバランス感覚も良いです。
気候や虫の種類の変化でそれがいつなのかを見せる時間経過、都会の人間が越してきたことに対する地元民の描き方や彼らの信用の得方、動物と人間の生活圏の曖昧な境界など、自分が引っ越してきた経緯が似ている分とてもリアルで効果的に描かれていると思いました。本棚にある実在の農業関連の書籍のすごいラインナップ(と、思う。劇場でチラ見しただけだから)の割にジャガイモの定植がわかってなかったり突っ込み所もなくはないですが。
あなたへ
ストレイト・ストーリー」や「アバウト・シュミット」のような老人の黄昏を描いたロード・ムービーは色々あるけど、その種の映画の要素は全然ない。健さん自分が老人を演じてるという自覚全然ないからね。なぜ一介の老人がキャンピングカーで旅するだけであんなにチヤホヤされるのか。なぜなら健さんはアイドルだから、それしか理由が考えられない。俺にもAKBにも負けないくらい立派に追っかけてるアイドルがここにいたよ!お前、俺にパッションないパッションない言うけども、俺にもパッションあったんや!
せっかく田中裕子、ビートたけし大滝秀治と「夜叉」の面子がそろってるんだから、たかだか5年ぐらいの高齢結婚という設定にしないで「夜叉」の二人のその後的な描き方が観たかったとも思う。ビートたけしもあんな変な友情出演するくらいなら、「アウトレイジ・ビヨンド」に健さんを陰の大物で担ぎ出すとかそういう発想はなかったのだろうか(あったとしても健さんが断ってそうではあるが)。
健さんが車で寝ていると中華料理屋のおかみを演じる余貴美子が完全にハンターモードの飢えたような目つきで差し入れを持ってくるシーンで、健さんの衰えゆえに彼女に襲われても抗えないのではないかとちょっと無駄にドキドキしてしまった。この作品は大滝秀治さんの遺作になってしまい、健さんとのツンデレなやりとりが愛おしく思い出される。
エージェント・マロリー
総合格闘技を映画の中で使うとこうなるのかというのが見れて興味深かった。あの立ち技からいきなり関節取りに行く感じね。もう少し敵役が手ごわくてもう少しストーリーがちゃんとしてたらすごい傑作になってたような気がする。最近の細かいカット割りで強そうに見える&早そうに走ってるようにみえる編集に頼らない、俳優を端から端までしっかり走らせてそれをしっかりカメラを据えて撮るというドキュメンタリー重視な撮影は見ごたえはあったけど、俳優に要求される身体能力はハンパないとソダーバーグの鬼のような映画作りに痺れました。主演のジーナ・カラーノはメチャクチャごつくなったレイチェル・リー・クックみたいなルックで可愛いような可愛くないような。…いや、可愛いです。
鍵泥棒のメソッド
殺し屋と俳優が入れかわりそのギャップを楽しむ映画なのかと思ってたけど、殺し屋が記憶喪失になっても几帳面な性格と物事に取り組む真摯な姿勢と合理的な学びの手法は失ってなくて、俳優としての才能を開花させていき、その回りくどいほどの謙虚な姿勢が現場で愛されてどんどんしょうもない仕事が舞い込んでくる展開が面白くて堺雅人のエピソードはいらないからずっと香川照之を眺めていたかったくらい香川照之がカワイイ。ギャグはほとんどすべってたし、脚本が練られすぎてて窮屈な感じもあるけどここまで面白ければ文句はない。ヒロスエの結婚相手の条件とバイト募集の条件が同じなのが可笑しかった。いつの間にいい女優になってたね。もっと色んな映画に出てほしい。ノートの正しい取り方が学べます。
デンジャラス・ラン
原題の「Safe House」で良かったんじゃないのか。このタイトルだとデンジャラスなのは走り方みたいだよね。ライアン・レイノルズはいっぱい走ってたけどデンゼル全然走ってないしね。この映画のライアン・レイノルズはメチャクチャカッコいいんだけど「テッド」でナヨナヨしたゲイを演じててびっくりした。グリーン・ランタンってやっぱりアメリカじゃ馬鹿にされてるんだろうなぁ。「96時間 リベンジ」とかもそうだけど外国でやりたい放題やって後は大使館に逃げ込めばいいみたいな展開は好きになれない。今回は逃げ込んでもダメって話だったけど、殺された警備員とか一般人も結構死んでるわけだし、デンゼルには黒いままで逝って欲しかった。いやメタファーな意味で。
ハンガー・ゲーム
アメリカでメガヒットしたというので期待してたんだけど10年前に「バトル・ロワイアル」を観てる身としてはヌルイ殺し合いしてんな〜という感じ。もう日本じゃ「悪の教典」にアップデートされてるんだけどね。しいて勝っていると言えば山本太郎役のウッディ・ハレルソンぐらいか。近未来の話なのにビジュアル的にダサいというのがもったいない。司会者の髪型とかスタンリー・トゥッチだから許されるレベルですよ。「デーブ」「カラー・オブ・ハート」「シー・ビスケット」でアメリカ社会を風刺をしながらも前向きなエンターテイメントを作ってきたゲイリー・ロスがこんな殺伐として映画を撮ったこと自体に興味が湧いた。次回作全然関わってないみたいだけど。しかし、実力よりも人気が出ればゲームが有利になるのでみんな嫌われないように競って媚びまくるパトロン制度ってAKBみたいな構造だよね。しかし、今のアメリカの若手の人気俳優の中にカッコいい奴って全然いないよね。
桐島、部活やめるってよ
現役の高校生よりも、青春が終わったであろうアラサー、アラフォーの面々がこの映画を見終った後に映画の感想よりも自分の学生時代を語りだすという光景がネットでよく見られた。高校生活を中途半端に終えた身としてはあまりピンと来ないけど中学の頃ならなんとなくこんな感じわかる。今でもあるよこういう感覚。Facebookでも知ってても過去の威光が眩しくて友達になって下さいって言えない人結構いるもんな。何だろうこの精神的な格差感。神木君と大後寿々花の子役から成長してもその殻今一つ破れなかった感を見事に振り払わせたキャスティングがナイス。

今日もここまでにしておこう。まだ続くのか。

続・2012年をゆっくりふりかえる。


フォーラム仙台で「高地戦」観ました。本当は「声をかくす人」も続けて観る予定だったんだけど、最近歳のせいか一本面白い映画観るとそれでお腹いっぱいになっちゃうんだよね。昔はどんなに重い映画をハシゴしても平気だったのに。

「高地戦」を観て思い出したのは岡本喜八監督の「血と砂」。この映画がなくても佐藤允さんが亡くなられらこともあって最近わりと喜八作品に思いを寄せていることがあったのだけれど、世の中的にも近頃なぜかチャールストンな感じだし、この日の午後にBSプレミアムで市川崑の「プーサン」がやっててこれがまた朝鮮戦争特需で世の中がどんどんおかしくなっていくなかに組み込まれていく男の話だったりで、様々な思いに耽りながら夜の下道をダラダラと流してました。朝鮮戦争の停戦の裏にはこんな事実があったなんてね。予備知識をまったく入れてなかったので本当に驚きました。いやーひどい話もあったもんだ。あとで予告編観たけど、このネタバレは確かにひどいね。それこそ「独立愚連隊、西へ」的なラストも一瞬期待したんだけど、そんなわきゃないよね。


先日の休みに109シネマズ富谷で「東京家族」「ルーパー」「96時間 リベンジ」「テッド」を無理やりハシゴしてきました。片道70キロぐらいあるのでこのくらい観ないともったいないんだけど、映画に1日使うのも最近何となくもったいない。サービスデーということもあり「東京家族」はお年寄りでほぼ満席だったけど、「テッド」にまで人が入ってて驚いた。って、「テッド」大ヒットしてるのね。カワイイ映画と勘違いしたのか若いカップルばっかで笑いにくくてしょうがない。R15予告でやってたレジの女の子を引かせる下ネタはもう1段階上を行ってたね。宇多田ヒカルの感想を聞いてみたい。なんとなく。

というわけで、前回に引き続き去年の映画を振返ります。
メリダとおそろしの森
勝手にピクサー版「もののけ姫」+「ローマの休日」みたいな話だと思ってたら、むしろ母親が主役で驚いた。王を含めて野郎どもが争いの事しか考えてなくて、この王女が裏で国を仕切ってるということが序盤ではっきり描かれているので観ているこちらも「メリダ、ちゃんとお母さんの聞かなきゃダメだよ」という気持ちになっているので、メリダの葛藤云々よりも王女があの王国からいなくなるサスペンスの方にハラハラさせられた。というか、こういう話なら「塔の上のラプンツェル」の方が上手く描いてなかったかな。
アーティスト
この映画でサイレンス映画を初めて観て昔のサイレンス映画に手を伸ばした人っているのかな。そういうところにまで若い観客を持ってくぐらいの実験ではなかったと思う。いい映画だと思うけど、この映画を観て無声映画が懐かしいって人はもうあんまりいないと思うんだよね。個人的なファンタジーとして、映画業界にはジョン・グッドマンが最低一人はいて欲しい。
るろうに剣心
原作を読んでなかったので「るろうに剣心」の映画化というよりも「無限の住人」の映画化を観ているようで燃えた。アクション監督の谷垣さんは長年ドニー・イェンと仕事してた人だそうで、今まで見たことあるようでない殺陣が斬新だった。ボーン三部作のようなアクションシリーズにしてもらいたい。
おとなのけんか
子供の喧嘩を親同士がきれいに収めようとしたら大人の喧嘩はもっと酷かったというお話。始めは親対親だったのが、夫対妻、男対女、女対女、男対男、大企業対個人事業主、インテリ対…などと対立構造が79分の短い間に目まぐるしく入れ替わる構成が素晴らしく唸らされた。絶対とばっちりを受けない立場で他人の争いを覗き見るのがこんなに楽しいとは!ロマン・ポランスキー監督の「死と処女(おとめ)」を思い出しました。
幸せへのキセキ
しかし、このタイトルは何とかならなかったのだろうか。奇跡と軌跡をかけての事なんだろうけど、この表記だと♪あした、きょうよりも好きになれる〜的な映画なのかと思わせられるよね。でもね、劇中使われることがあるわけないこの歌を予告編のBGMに乗せてみても何ら違和感を感じさせないような包容力がキャメロン・クロウの映画にはある。それがキセキだよね。
アベンジャーズ
この映画が今一つノレなかったのはアベンジャーズのメンバーの映画は「アイアンマン」しか観てなかったのもあるし、どうもエンドロールの後に打ち上げシーンがあったらしい。映画終了直後に次の敵がチラッとエンドロールに割り込む形で入ってたのと、CGが多用された映画のエンドロールは無駄に長いだけという経験を踏まえて途中で劇場から出ちゃったんですよ。いや〜失敗したな。それで映画の評価が変わるのもどうかと思うが。個人的にはお祭りとしては「バトルシップ」の方が楽しかった。
プロメテウス
あの「あわわ〜あわわ〜」の予告編が素晴らしすぎてね。今見ても面白そうだもんこの映画の予告編。映画自体も「エイリアン」と関係なければ面白い映画だったと思うんですけどね。「エイリアン」の続編らを手掛けた監督たちの地獄のプレッシャーを思うと生みの親がオリジナルをぶち壊してどうするとはちょっと思ったっス。たまに「スペース・バンパイヤ」とか見直すんだけど、今の技術から考えるとちゃちいところはいくらでもあるんだけど、それでもあの頃のSFには観ていてワクワクさせられるものが何かあるんですよ(おっぱい以外にも)。「アバタ―」観る限りジェームズ・キャメロンにはそういうものが枯れてないのがわかるんですけど、リドリー・スコットにはもうないような気がします。弟さんも亡くなっちゃったしね。ブレード・ランナーの続編やるんだそうですが、やめた方がいいと思います。
SR サイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者
前2作観てなかったけど見直してる暇がなくて劇場でかかってるうちにと思い観ました。序盤のラップバトルでマイティー君のラップがしょうもなかったらどうしようと思ってたらこれがまた素晴らしいクオリティでね。しかもそのあとすぐに堅気じゃいられなくなる一線をやすやすと越えちゃうしね。なにこの堂々たるメジャー感。あとあのヤンキーたちの前でやらせられるオーディションでのDJネムリネコのカッコよさハンパない。こういう映画が大ヒットしてほしい。
最強のふたり
今年のベスト・オープニングではないか。アクション映画顔負けのカーチェイスとフランス映画らしからぬ鮮やかなオープニング。大富豪を演じたフランソワ・クリュゼさんの笑顔が素敵すぎる。ダスティン・ホフマンがフランス語喋ってるのかと思った。これフィクションだったらありえない着地なんだけども、こういう映画になってないだけのありえない関係みたいなものを各々が作っていけば世の中は本当に変わるのだと思う。

今日も終わらなかった。ほんとゆっくりしすぎだろ。

2012年をゆっくりふりかえる。

明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

年明け一発目の映画は「ホビット 思いがけない冒険」でした。時間帯の都合で2Dでの鑑賞でしたが、これから観る方には3Dをお薦めします。正直原作は「ロード・オブ・ザ・リング」の1/6のボリュームなので、3部作にするには強引な感じがしましたけど、あっちこっちに話が飛ぶ「ロード〜」よりも「ホビット」の方がシンプルな筋立てにたたみかけるアクションが素晴らしく3時間があっという間でした。時間が許せば3Dでもう一回観たい。
去年の劇場での映画鑑賞数は50本。少ないけどいつでも映画を観に行けた東京、横浜での生活を考えるとここでこの本数観るのは結構大変だと思う。劇場での鑑賞にこだわらなければもっと観られたのかもしれないけど、世の中の映画離れの傾向を考えると今劇場に足を運んでおかないとこれから先映画館で映画を観ること自体ができなくなる可能性もあるなと感じます。特に地方では。シネマリオーネ古川なんてあんな客数でどうして営業していられるのか全然分からないしね。それなりに大作はかかるし、リアルタイムで上映されない話題になった映画でも2か月遅れくらいでかかったりするのでなるべくそれまで待つようにはしてます。「フランケン・ウィニー」は2月に観る予定。

去年劇場で観た映画を振り返ってみる。

幕末太陽伝 デジタル・リマスター版 
元旦にフォーラム仙台にて鑑賞。左幸子南田洋子に挟まれて言い寄られる男になりたいもんだ。
宇宙人ポール
主人公たちよりUFOを目撃して世捨て人になった女の人のインパクトが凄かったな。
「葉っぱが〜!」ってシーンには笑った。
リアル・スティール
主人公が最低すぎて最後までノレなかった。ロボットたちの戦いが梅図かずおの「14歳」の”もの”たちの戦いにしか見えなくてね。こんな世界嫌すぎる。
家族の庭
慎ましやかにも自分たちの生活を確立している者たちと自堕落な生活をして自分を見失っている者たちの相容れなさをここまで突き放して容赦なく描くマイク・リーはすごい。
ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル
ここまで体張るトム・クルーズは本当に偉いと思う。「アウトロー」も楽しみ。「エクスペンダブル4」か「5」には出てもいいレベルだと思う。アクション・スターとしての消耗ぶりにも、ややマイナスに充実し始めたプライベート的にも。
ワイルド7
こんなのアクションでもなんでもねえから。冒頭あんなに簡単に一般人を殺しておいて、どう考えても人が死んでないとおかしい機動隊との銃撃戦で誰も殺してないというこのバランスの悪さ。この映画を作った人たちには同じ日に観た「ゴースト・プロトコル」と同じ金額客から取ってることを恥ずかしいと思ってほしい。
聯合艦隊司令長官 山本五十六
何度か印象的に描かれる中産階級の人たちが集まる飲み屋の会話って普通に今の日本でやってそうだよな。と、衆議院選を見ながら思った。
ALWAYS 三丁目の夕日'64
梅ちゃん先生」劇場版3Dみたいな映画だったね。同じ頃やってた「カーネーション」がテレビであんだけ凄いことやってたのにね。この程度の映画だったら直接古い日本映画観ればこと足りる。久松静児の映画観ればこれの100倍笑わせて泣かせてくれるよ。
ドラゴン・タトゥーの女
色々と凶悪な映画だった。これ続編もデビッド・フィンチャーでやってくれんのかなぁ。
アメイジングスパイダーマン
主人公が暇さえあればスマホいじってるような今時の若者って感じでその軽薄さが良くも悪くもアメイジングだったけど、サム・ライミ版の方が断然面白いからなぁ。中途半端にいいやつにしないで気まぐれでわがままなまんまのキャラクターで突き抜けた方が面白かったんじゃないかね。
戦火の馬
スピルバーグは生き急いでいる感じがするなぁ。コンスタントに新作が観られるのはいいですけどね。「リンカーン」もホント楽しみ。農業的にも昔のプラウ耕とか見れて良かった。
駅前旅館
貸間あり
東京で大学の同窓会があったので上京して、時間まで池袋の新文芸座でやってた淡島千景の追悼特集の二本立てを観てた。ほんとコメディセンス抜群でキュートで、時代についていけない古風な美人というような役が上手い人でした。暗い内容の映画でもこの人が出てると湿っぽくならないんだよな。「にごりえ」とか「もず」とかが好き。
ももへの手紙
結構この映画好きな人が多いみたいなので言いにくいんだけど俺はこの映画全然ダメでした。ちょうどこのころ「ウィンターズ・ボーン」を観たせいかな。あいつらの勝手で壊したみかんを収穫するための昇降機もあれ弁償したのかね。あのイノシシ親子のせいにされちゃってるんじゃないの?あの嵐の中わざわざ危険を冒してまで薬取りに行くことをあのお母さんが喜ぶとは思えないんだよね。
ダークナイト ライジン
ダークナイト」の続編だと思って見に行ったら「ロッキー3」みたいな映画でビックリしました。そういう映画なら最初からそう言ってくれればね。そういう映画だと思って観に行きましたけどね。
畑で虫にまぶたを刺されて病院に行ったときに、待合室のテレビでやってた朝の情報番組に最近フリークライミングをやってるらしい松原智恵子が出ててワイドショー会場に作られた壁に挑戦してたんですよね。彼女は頂上付近まで危なげなくスイスイ登ってって凄かったんですけど、最後の難関でどこに手をかけていいかわからなくなってしまって「ああ、どれにしよう…」と迷いながら壁にしがみついていたんですね。腫れてない方の目でテレビを見上げながら自分の心の奥底の方から「チーエーコチーエーコチーエーコチーエーコチーエーコ」という声援が自然と湧き上がってきたんですね。その声援が最高潮を迎えた時に彼女はガシっと頂上の岩に手をかけたんですよ。そこで俺は心の中でガッツポーズ。しかもこれカット割ってないですから。だから、あのシーンもやっぱりこういう盛り上がり方をしないとダメだったんじゃないと思うんですよ。作り手がライジングを心の中で信じてないという感じがしましたね。あと、ゴードン警部には今年一番頑張ったで賞を贈りたい。
宇宙兄弟
思ったよりも面白かった。ただ、少年時代から突然中年になる映画を観ると「その間何にもなかったのかね」と言いたくなってしまう。「オールド・ルーキー」の少年がぱっと振り返るとデニス・クエイドになっているあのちょっと乱暴な感じの違和感みたいな。原作はそんなことないですからね。あとせりかさんを演じた麻生久美子に漂い始めた中谷美紀的なあの変な「なんでも許してあげます」的な菩薩感にはちょっと不安が。あの役は仲里依紗あたりに演じて欲しかったな。
ヒューゴの不思議な発明
ルネ・クレールの「ル・ミリオン」のような賑やかさが3Dで飛び出してくるような楽しさが何とも心地よかった。普段映画を観ないような人たちにも薦めやすいジャンル映画としてのスペクタクルがなかったのはちょっと残念だったけど。
ヘルプ 〜心がつなぐストーリー〜
これをコメディとして撮るのが凄いなぁ。黒人の彼女たちがいつリンチにでもかけられるのかヒヤヒヤしながら観てた。人種云々よりも女性たちが軽く扱われていたがゆえにそこまで大事に発展しなかったのかなとも思う。
ものすごくうるさくて、ありえないほど近い
トム・ハンクスがミスキャストだったと思う。いつからこんないい人モードのつまらない役者になってしまったんだろう。「プリティ・リーグ」のやさぐれ監督みたいな役が似合う人だったのに。「クラウド・アトラス」に期待。
ヤング≒アダルト
去年の紅白のプリプリがあの奥様方のバンド彷彿させたと感じた人がツイッターにチラホラみられるぐらいのインセプションは確実にあったと思う。あの身勝手さは他人事じゃないな。
ジョン・カーター
こけたことが話題になって可哀想だった。あんなに面白いのに。ダンボール戦記とか見せる前にこういう映画子供に見せたいという目利きができる親が本当に少ないんだなと世間の映画離れを感じた。あと久しぶりにちゃんとゴージャスで綺麗なお姫様というものを見たと思う。
バトルシップ
監督のピーター・バーグはもともとは中途半端なイーサン・ホークというような感じの見た目の「レイト・フォー・ディナー」の頭の回転が遅い弟とか「甘い毒」でリンダ・フィオレンティーノに尻の毛まで抜かれるようなボンクラがはまり過ぎてた俳優さんで、主人公のダメ男ぶりが監督自ら演技指導したんじゃ思えるくらい素晴らしくて最高でした。チキン・ブリトーが世界を救うって話だからね。あと浅野忠信が英語で喋ってもいつもの浅野忠信と違和感ないところが良かったです。丹波哲郎っぽい。

今日はこのあたりでやめときます。

「ホラー映画ベスト10」に参加します。

今年もWashさんの「ホラー映画ベスト10」に参加させて頂きます。
これから挙げる映画よりもすごい傑作もありましたが、まだ自分が映画をフィクションとして割り切ることができない多感な時期に観たホラー映画を挙げたいと思います。子供の頃から本当に怖がりで80年あたりのビデオレンタル店に貼ってある「フェノミナ」や「クリープショー」等のポスターも見られずに避けていたほどでした。


好きだった女の子に「今度の日曜お父さんに『コマンドー』とバタリアンの二本立てに連れてってもらうんだけど行かない?」と誘われて「女ってホラー映画平気なんだ!」と衝撃を受け「ホラー映画を観れないと彼女も作れないのか!」と苦悩の日々を送りました。

ある日、急に自習になったのでクラスで映画を観ることになり、なぜか「トップガン」「少年時代」「ゾンビ」のどれかを観ることになったのですが、女子の圧倒的な支持のもと「ゾンビ」を観ることになりました。このとき前を向きながら実は画面を観ていないという技を会得し何とか見続けることができました。上映された「ゾンビ」は録画で録ったものらしく冒頭部が少し抜けており途中から観ることになったのですが、実はそんなズル技を使わなくても十分面白かったのです。しかし、ショッピング・モールに逃げ込んでから女の人が実は妊娠していたということがわかるシーンでベルが鳴り「やっと終わった」と安堵するも「続きはどうなるんだ?」という気持ちを引きずることになるのでした。

高3の頃アメリカに留学することになりテキサスの田舎に行くことが決まりました。ホストファミリーへの手紙で映画が好きなことを書いたら、向こうのホストファーザーも映画が好きで一緒に映画を観て楽しもうという返事がきました。彼の名はケネスといいブライアン・デネヒーとほぼ同じ顔で職業は警官でした。

テキサスの家についたその日の夜にケネスのお気に入りの映画を観ることになりました。そのタイトルは「Zonbi 2」。「ゾンビ」が「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」の続編だということを中途半端に知っていたので「ああやっとあの続きが観られる」と思って見始めたのですが、とにかくゾンビが人を襲うゴアシーンが凄まじく、ゾンビが水中でサメと闘ったりするのです。何か違う…こんな映画だったっけ…。とにかくコレは絶対に自分が苦手な映画だと思いケネスの方を見やると
(☆ゝω・)b⌒☆ね!と表情を向けて来たので、ここでビビったら日本人がなめられると思ったのでd(ゝc_,・。)イイネ!!と耐えることにしました。映画の中盤、ある島でゾンビの研究をしてる博士の若い美人の奥さんがドア越しにゾンビの腕に髪をつかまれ引っ張られます。彼女の顔の先には突き破られたドアの木の破片が突出しており、そのまま引っ張られると彼女の眼球に木片が突き刺ささります。

そこをゆーっくりゆーっくりと撮っています。「マジで!ま、まさかこのまま…」と思い再びケネスを見やると、
(☆ゝω・)b⌒☆ね!________d(ゝc_,・。)…イ、イイネ!!
この映画のタイトルは、
1位サンゲリア(1979)監督 ルチオ・フルチ
ずいぶんと引っ張りましたが、この映画の登場人物のほとんどが「志村、後ろ!」どころか「前だよ、前」的なシチュエーションで死んでいくので、ルチオ・フルチが演出の怖さよりも人物の死に方に重きを置いた作品だったわけなのですが、「これに耐えられればどんな映画でも観られる」と勘違いし、その後怖い映画に手を出しては地獄を見るという行動を繰り返すことになります。「マッキラー」を観て思ったけど、ルチオ・フルチって真面目人なんだと思う。

2位「ブロブ/宇宙からの不明物体」(1988)監督 チャック・ラッセル
ケネスのお勧め第二弾。前回の「サンゲリア」を頑張ったので余裕で観られるだろうとたかをくくってたのですが、映画の冒頭性格もよく勇気もあり映画の主人公と思しきイケメンが突然死にます。善良な中年カップルが愛情を持って描かれた後に死亡フラッグが立ちます。ホラー映画における安全の法則がことごとく破られた映画でそのパワフルな演出に圧倒されました。これが後に「ミスト」を撮るフランク・ダラボンのとの出会いだったワケですが。

3位「ニア・ダーク 月夜の出来事」(1987)監督 キャスリン・ビグロー
深夜の映画番組で観た作品。10代の頃、テレビは茶の間の一台しかなかったので映画は深夜か早朝に観るしかありませんでした。その時間帯にエリック・レッド脚本の映画の独特の寂寥感がマッチしていて雰囲気あるんですよね。怖かったというより好きなホラー映画。ジェニー・ライトが可愛い。

4位「ザ・バニシング-消失-」(1988)監督 ジョルジュ・シュルイツァー
アメリカの同監督によるリメイク版「失踪」もあるけど、こちらはオリジナル版。なかなか観るのが困難な映画で都内のビデオレンタルを探し回って、西荻窪北口にあるビデオ屋でようやく見つけて鑑賞。旅先のつまらない喧嘩で別れた彼女が突然失踪し、主人公は何年もの執拗な捜索活動を続けていたところに突然犯人と名乗る男が現れるという話。「CSI」の1stシーズンの第一話でもこの映画のネタがまんま使われてました。犯人が異常者ではなく、とにかくその行動の動機が怖く救いがなさすぎるところに戦慄しました。

5位「ヘンリー ある連続殺人鬼の記録」(1992)監督 ジョン・マクノートン
個人的に連続殺人鬼を描いた作品ではベストと思う。「ノー・カントリー」の殺し屋も怖かったけど、この映画の影響も感じます。実際に殺されるシーンがほとんどないところが逆に怖い。

6位「マタンゴ」(1963)監督 本多猪四郎
吸血鬼ゴケミドロ」と迷ったけどたぶん人生最初のホラー映画体験、しかもそれは映画を観たのではなくて、小学校の頃のクラス担任がこの映画のストーリーを結末まですべて怪談でも語るように聞かせてくれたのです。その語り口が上手くて数年前にフィルムセンターで初めて観たときに、細かい細部まで同じだったのに驚きました。食べ物がなくなる怖さ、それに伴って失われる人間性、救いのない結末。和製ホラー映画の傑作です。

7位「テナント/恐怖を借りた男」(1976)監督 ロマン・ポランスキー
昔、WowWowで観ました。「センチネル」や「ローズマリーの赤ちゃん」などの怖い住人系ホラーであり、「ジェイコブズ・ラダー」のような覚めない悪夢系でもあるロマン・ポランスキーが主人公を演じるホラー映画。世間しらずの若者が大都市に引っ越してきてワケありの物件を借りたら、周りの住人の嫌がらせが現実なのか自分の自意識過剰なのか分からなくなっていくというお話。これは好きな映画です。
  

8位「家」(1976)監督 ダン・カーティス
「たたり」「シャシング」などの館系ホラー映画の傑作。個人的には「シャイニング」よりもよく出来てると思う。幸せな家族が郊外の古い屋敷を格安で買ったために、徐々に悪意のようなものに蝕まれていくというお話。カレン・ブラックがシェリー・デュバルとは違った意味で怖い。ダン・カーティスの「戦争の嵐」シリーズはDVD化してほしいな。

9位「ヘル・レイザー」(1988)監督 クライヴ・バーカー
「エルム外の悪夢」や「13日の金曜日」のようなホラー映画の人気キャラクターの中ではこの映画のピンヘッドがすきですね。魔道士たちがスタイリッシュでカッコいい。本格的に一般人が死にまくる「3」もすきですね。個人的には「丘に、町が」の映画化してほしいです。

10位「リング」(1998)監督 中田秀夫
♪ク〜ル、キットクル〜二本立て興業とかが出来てた頃だから、公開されてからずいぶん経つんですね。怖がりのくせに心霊写真とかは好きだったので、都市伝説とかその種のエッセンスを凝縮した映画の作りは見事でした。パロディとしてレベルの高い「最‘狂’絶叫計画」も好きですね。

でも、本当に怖いのは「火垂るの墓」だけどね。

集計大変だとおもいますが、よろしくお願いします。

サンゲリア [DVD]

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ブロブ?宇宙からの不明物体? [VHS]

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DVD出てないのね…。
ザ・バニシング-消失- [DVD]

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ヘンリー ある連続殺人鬼の記録〈Collector’s Edition〉 [DVD]

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マタンゴ [DVD]

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テナント?恐怖を借りた男 [VHS]

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家 [DVD]

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ヘル・レイザー [DVD]

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リング (Blu-ray)

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http://d.hatena.ne.jp/washburn1975/20121031

映画をハシゴする。


ドラゴン・タトゥーの女」を遅ればせながらいつものシネマリオーネ古川で観てきましたが、最後の回で観客は俺一人!。巨大なホームシアター状態。ある意味HomeAlone。楽しい映画で一人もやだけど、こういう映画で劇場に一人にされても困るんですけど…。ちょくちょく後ろを振り返りながら観てました。
正直リスベット役のルーニー・マーラ(エリカ様ね)がちょっとインパクト薄いかなと思いましたけど、映画を観た後だとあのシーンをやることも含めて候補に挙がっていたようなビッグネームの女優さんがやるような役ではないですね。第一候補がナタリー・ポートマンだったらしいですが、そのまんま「ブラック・スワン」路線まっしぐらじゃないですか。候補に挙がっていたキーラ・ナイトレイ、クリスティン・スチュアート、エマ・ワトソンあたりで観たかったかも。
マイノリティ・リポート」では観客がオープニング・クレジットの時点で「犯人はアレだな」とプリコグのように予知できてしまうキャスティングでしたが、今回のもかなりアレに近いものがありました。まあ、あの人が最後の最後までいい人だったら新しいミスリードのキャスティングの形が確立されたでしょう。出た本人的には「なんでこの役俺なの?」ってことになるでしょうが。EnyaのOrinoco Flowがものすごく嫌なところで流れると聞いていて「いつかかるんだろう?」とビビりながら観てましたが、終わり頃に近付くにつれて「まさか…まさか…Massacre!」的なタイミングで来ましたね。アレハンドロ・アメナーバルの「テシス/次に私が殺される」の暗闇に入っていくあのいや〜な感じを思い出しましたよ。
脚本は「ボビー・フィッシャーを探して」「シビル・アクション」のスティーブン・ザイリアン。リスベットが読んでいたチェスの本がボビー・フィッシャー関連だったのは楽屋落ちですね。
三部作だそうですが、またリスベットに会いたいかというと答えはYes!ぜひまたこのキャストとスタッフで観たいですね。観光としても優れた映画でスウェーデンの寒い感じがまたいいんだ。

「戦火の馬」もシネマリオーネ古川にて次の日の最後の回に鑑賞。冒頭のイギリスのシーンの色が現在の映画とは思えないほど昔の映画っぽくて、個人的にはジョン・フォードの「静かなる男」のあの緑を連想させました。また馬の演技が作為的に上手いので最初は「猿の惑星」みたいにCGなのかと思いましたが本物でした。ジョーイを演じた馬(全部で14頭)のうち、メインロールと努めた”Finder's Key”はもともと競走馬で演技もできるので俳優に転向し数々の映画スターを乗せてきたそうです(有名なところでは「シー・ビスケット」のタイトルロール)。
ジョーイ(馬ね)は飼い主によってあっちへ行ったりこっちに連れて来られたりと受け身に生きている頃はただの馬って感じなんですが、中盤のあるシーンからガラッと目つきや顔つきが人間のそれに見えて来るんですよ。終盤に向けて地獄の惨状の中を怒涛のごとく疾走していくシーンは凄いです。このあたりから俺と後ろにいたおっさんと二人で最後まで泣いてたね。スピルバーグ映画特有のあの戦場から逃げられない感は今回も健在でやはりこの映画は劇場で観てもらいたいです。

シネマリオーネはいずれなくなる。それは間違いない。仙台までガソリン代はかかるけど、観たい映画がある時はここに来るしかない。それがよくわかった。その翌日、フォーラム仙台にて「ヤング≒アダルト」を鑑賞。ジェイソン・ライトマンの新作はチェックしとかないとね。何が怖いって、俺とシャーリズ・セロンはタメなんですよ。自分にもメイビスが抱えている家庭を持てない因子があるのは間違いない。いたたまれない気持ちで観てましたよ。メイビスが服が変われどベッドに突っ伏してる姿がまたΩ\ζ゜)チーンってな感じでブザマでいい。
またラストで凄い修羅場が待っててね。マイク・リーの「家族の庭」でも似たようなシーンがあるんだけど、あっちが凄いのは見下している側が先に手をまわして修羅場にさせないんですよ。日常生活でああいう場面がえてして修羅場にまで発展しないのと同じでそこがあの映画のリアルなとこなんですが、やっぱりハリウッド映画は爆発しないとね。でも見ていてあの場を壊したくない、空気読めない奴になりたくないという気持ちがこちらに出来上がっているのだから、あの映画の感情の積み上げ方もやっぱり上手いんだよね。メイビスの両親は可哀そうにこれから肩身の狭い思いをしていくんだろうなぁ。宇多丸師匠もシネマハスラーで言ってたけど、メイビスとマットのベッドシーンは俺も「ゴースト・ワールド」のソーラ・バーチスティーブ・ブシェミを思い出したっス。あのシーンは文字通りお互い全てをさらして向き合ういいシーンで思い出すと泣けて来る。

その後すぐに同劇場にて「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」を鑑賞。9.11を題材にした映画だというので、こちらも3.11から1年という時期的に何かリンクするものを感じて観ましたが、あんま関係なかったですね。「めぐりあう時間たち」の時系列の入れ替えは時代そのものが違うから、その時代ごとの価値観の対比が容易なのでそれなりの意味を生み出すんですが、この作品の時間の飛び方はたかだか数年の話なのでそのシーンどこからどこまでが回想シーンで、どこからどこまでが現在のシーンなのかが少年の見た目も変らないのでよくわからない。しかも主人公の少年がとる奇怪な行動の説明がなさ過ぎてただの変な少年にしか見えない。あとからその理由は説明されるんだけど、そこまで引っぱる秘密かとも思える。だから、マックス・フォン・シドーとの交流が面白く描けてるのは分かるんだけど、こちらはこの時点で少年のやりたいことがよくわからないので「この二人は何をはしゃいでいるのか?」と冷めた目で観てしまうのがちょっともったいない。
この作品に感じたモヤモヤしたところは原作読めば書いてそうなのでそちらをチェックしてみようと思いました。あの事件から10年以上寝かせてこの程度の帰結でいいのかという意味では期待はずれでした。観てないけど「ヒミズ」の方がまだこの映画よりリアルなんじゃないか?

フォーラム仙台の姉妹館チネ・ラヴィータで「ヒューゴの不思議な発明」を3Dで観る。3Dはシネコンの方が環境がいいと思ってたんだけど、Movix仙台よりもチネ・ラヴィータの方が3Dの環境は良いね。これにはちょっと驚いた。「Always 三丁目の夕日'64」の3D画面が暗かったのは作品が悪いのか、劇場が悪いのか判断できないけど、こちらは画面も明るかったし目も疲れなかった。スクリーンは若干小さめだけど、映画はスクリーンの大きさだけじゃないからね。ガラガラの新宿ミラノ座で観るなら、満員の新宿武蔵野館で観た方が映画は断然面白いのだ。これからは断然こっちで観る。
「ヒューゴ〜」は3Dで観ることが前提で撮られているので随所に視覚的に面白く見せる工夫が凝らしてあって、ピクサーのアニメを人間の俳優の演技で観ているような不思議な感覚を味わった。アカデミー賞は「アーティスト」が取ったけど、技術革新が進んだこっちが取れなかったという意味では昨年の「ソーシャル・ネットワーク」と同じ事を繰り返したわけだ。
「アーティスト」はいい映画だろうし観るつもりだけど、俺が一時期サイレントにハマったほど観た人をサイレント映画を観るまで引っぱる力はないだろう。俺がサイレントに惹かれたのは今の映画よりもよほど新しいことをやってる新作として観ていたからなのであって懐かしさからではないんですよね。「ヒューゴ〜」の画面には3D映画の未知の可能性を感じたし、ルネ・クレールの「巴里の空の下」を観ているかのような華やかさ賑やかさもあって大きな事件も起こらない映画なのに不思議と気持ちが温かくなって来る。日本映画で言えば沢島忠の映画の世界ですよ、これは。
あと「戦火の馬」の後に観ると、ちょうど時代が被っていてサシャ・バロン・コーエンがそれまでどうやって生きて来たのかとか、ジョルジュ・メリエスがどうして世の中に絶望することになったのかが、特に説明がなくてもすんなり理解できるんですよね。製作者も製作意図もまるで異なる映画がお互いを補完しあうなんてことが映画を観ているとたまにあります。